私は夢を失った。それは彼を交通事故でなくしたからである。しかも目の前で。
彼は優しく無邪気な性格だった。私も昔はそうであった。ただ好きなことは全然違った。彼は読書家だった。ノンフィクションを読むことが多かった。私はお菓子作りが大好きでクッキーを焼いたり、ホットケーキを焼いたり、パウンドケーキを作ったりしていた。彼が休憩をしている時にお菓子を持っていったらすごく褒めてくれた。恥ずかしかったけど嬉しかった。彼はよく私を褒めてくれて私も「ありがとう」なんて返してすごく楽しい時間だった。神様がいるのなら彼との時間をもう一度。あの時は助けられなくてごめんって言いたい。数分だけでいいそれが伝えたい。それが伝えられたら前へ進める気がする。
愛する人をなくして生きがいがなくなった気がする。彼をなくしてから色鮮やかだった世界が一気に変わった。誰の声も聞きたくないから独り部屋に籠った。携帯も電源を切った。そうして独りで泣いていた。私を心配して家に来てくれる友人もいる。しかし外には出られない。彼のことを忘れて私だけ楽しむなんて私にはできない。すごく苦しい。でもこの世から去る勇気はない。彼が生きていればこんな思いにならずに済んだのに...そんなこと言ったって彼が帰ってくるわけじゃない。分かっていても思わずにはいられなかった。
今日一日が終わった。また彼の夢でも見れたらいいな…

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