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そしてタスキはつながれた

民主主義映画だと思った。

と言っても、『スオミの話をしよう』公開間近の三谷幸喜監督の前作『記憶にございません!』ではない。忘却で誤魔化して全く責任を取ろうとしない総理が、民主主義の原則をインストールされて人が変わったように動き出す様子、その変わりっぷりに中盤小躍りする小池栄子の浮かれっぷりなどは圧巻だったが、今回はその話ではない。

これは東宝がこの夏肝煎りで公開したと思われる、映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』のことである。コロナ禍で大混乱の日本に歴史上の人物がAIで蘇り、内閣を組織し国を動かすという話で、すでにおふざけ色満開のキャラ別PVなど公開され、力の入れようが伝わってくる。

とはいえ、PVを見る限りでは明らかにおふざけ映画であり、見ての通りの衣装の派手さであり、これがただヤンキーノリでわちゃわちゃ騒ぎまくって面白がらせるだけの映画だったら、見る価値はないなと思っていたのも事実である。予告編では映像の迫力よりBGMの雰囲気で笑いがとられているようにも思えるし、細かなギャグの連発で間合いを繋いでいくだけの構成のように見えなくもない。

他方でキャスト陣はこれ以上ないくらいの豪華さであり、夏休み入りとほぼ同時の映画公開ということもあって、東宝さんは確実に会社としてこれを推しているわけで、会社は大丈夫なのかと不安にもなった。

考えが変わったのは、中田敦彦の動画を見たからである。

なんとこれは小説原作の映画であり、原作小説はコロナ禍の2021年3月に出版されていて、解説授業系YouTuberである中田敦彦氏の手にかかり、3年前にすでに解説がされていた。それによると・・・

ネタバレになるから結末は言えないのだが、非常に感動的なラストを迎えるようであり、ここまで聞いてまさかとは思ったが自分でも熱いものが込み上げてきた。何が悲しくて映画を見る前にオトコ一人がただ話しているだけの動画を見て泣かなければならないのか意味不明だが、ここまで動画を見た時確信したのである。「これは民主主義映画だ・・・・」と。

エンタメが発達して我々の周りはコンテンツで溢れている。そしてともすれば、私たちはその情報を受け取るだけ受け取って、考えない生活へと陥ってしまいがちにもなる。テレビの時代が過ぎ去り、個人が発信できる時代となった今こそ、私たちは自らの頭で、積極的に考える時間を確保し、良い考えを持ち、良い発信を通じて、交流を深め、責任ある社会を作っていくべきではないか・・・。

タイトルはちなみにこの映画のオマージュである。
これはこれでまたとてもいい映画だったので、
配信サイト等で探してぜひ見ていただければと思う。

それでは、今から観に行ってきます。

#夏に観たい映画 #この夏見たい映画

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