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【素人予想】東京優駿・GI

 普段はpixivで競馬予想していますが、さすがにダービーとなると書きたいことが多すぎてNote送りとなりました。前文は私と日本ダービーにまつわるしょうもない自分語りです。ぜひ読み飛ばしてください。

 2014年、私は大学生でした。学群の壁を超えて選択可能な講義として「総合科目」というものが月曜日の1~2コマ目に設定されていたのですが、その中から「面白そう」と思ってたまたま選んだ講義がありました。それが「競馬の世界」。確かJRAの方が来ていろいろお話してくれてたはずで、ある回では岡部幸雄さんがお話してくれたこともありました。課外授業として土曜日の東京競馬場にも行きました。そして5月の講義で「今度日本ダービーという大きいレースがあるからテレビで見てみてください」と言われ、生まれて初めて競馬中継というものを見ました。1番人気イスラボニータを最後に抜き去って橋口調教師とハーツクライの悲願を果たしたワンアンドオンリーの物語。これが私の競馬ファンとしてのスタート地点です。「競馬ファンは最初に見たクラシック世代を親と認識する」という言説をたまに見ます。実際ウマ娘(21年2月リリース)をきっかけに競馬を始めた人の中では21年クラシック世代に思い入れが深い人が多いようです。私にとっての「親」は14年クラシック世代。親というよりは私に競馬を教えてくれた「先生たち」に近い印象を持っています。

 ちょっと話がズレてしまいました。つまり私にとって日本ダービーは「競馬ファン○年目」の数字が1つ増えるレースなのです。今年の日本ダービーでちょうど10周年。初めてダービーを現地観戦する予定です。ヴィクトリアマイルが無茶苦茶な結果になり軽く体調を崩し、「もう競馬やらん」とすら思ったのですが、ダービーが近づくとそんなことどうでもよくなりますね。それくらい不思議な魔力があるのが日本ダービーなのです。

レースプレビュー

 最初に現実的な話をしちゃうと所詮は3歳春の世代限定戦であり、東京適性の高い早熟寄りの馬が勝つレースです。「ダービー馬」という称号が馬にとっては重荷でしかなくなってしまうケースもありますが、逆に言うと「ダービー馬」という称号はそれほどまでに尊く、憧れの的となるわけです。日本の騎手が海外に遠征すると「あなたは母国のダービーを何勝しているのか?」という質問が飛ぶのだそうです。ダービーは世界中のホースマンにとってのステータス、誰もが本気で勝ちたいと思っている…そして誰もが本気で勝ちたいと思っているからこそ現れる傾向が存在します。

 第一に、人気馬が強い。紐荒れはあれど勝ち馬は基本人気サイドで決まります。2001年~2006年は6年連続で1番人気が勝っていたくらいです。みんな勝ちたいと思っているからどの陣営も究極の仕上げで臨みます。だから「能力がある」と評価された馬がそのまま来るケースが多いのです。グレード制導入以後で見ると、単勝4番人気以下の勝利は40頭中8頭。皐月賞が21頭、菊花賞が15頭であることを考えると固い傾向があると言えるでしょう。ちなみに2019年に12番人気の馬が勝ったらしいですが、ちょっと記憶がないですね。

 第二に、ペースが落ち着きがち。逃げ先行馬や距離不安のある馬に乗っている騎手の場合、直線の長い東京において末脚を残しておきたいという心理が働きます。1000m通過60秒が標準のところ、61秒台はよくあるし、62~3秒の年もあります。こうなると、最後は瞬発力勝負になるし、瞬発力に差がない馬同士の着順は位置取りで決まります。あまりのスローペースを察知したルメールさんが向正面から仕掛けて勝ったレイデオロみたいな例もあります。これはルメールさんに「レイデオロだったらここで仕掛けてもいけるっしょ」という感覚があったことによるもので、それくらいの馬との信頼関係を深めておかないとダービーを勝てない=テン乗りでは勝てないという話にも繋がってきます。まあ去年勝ったのはテン乗りでしたが。

 そして日本ダービーの傾向として最早おなじみとなったのが内枠有利。Cコース替わり初週で内の馬場の状態がやたらいいのが主な原因です。2009年にこの運用になってから、勝ち馬15頭中8頭が1~5番の馬で、そのうち4頭が1枠1番。昨年も1枠1番のベラジオオペラが内から差し込んで勝ち馬とタイム差なしの4着に入っています。なお6~9番の勝ち馬は0なので、残り7頭は10番から外の馬。近3年に限れば3年連続で外枠から勝ち馬が出ていることについては留意しておきたいところです。

展開予想

 逃げると予想されていたメイショウタバルが離脱した今、逃げ候補として挙げられるのは大寒桜賞で逃げ切り勝ちの実績があるシュガークンあたりでしょうか。他の馬が意表をついて逃げる可能性が絶対にないとは言い切れませんけどね。どのみち今年のダービーは近3年で逃げたパクスオトマニカ、デシエルト、バスラットレオンのようにオープン以上で逃げ切った実績のある馬がいないため、ハイペースはちょっと考えにくいです。

 シュガークンはタイトルホルダーと同じ父を持ち、キタサンブラックと同じ母を持つ逃げ先行馬です。直近のレースぶりからもこの2頭とイメージ的には大差ない印象があります。鞍上も正確な体内時計を持つ武豊さんであることから、ハナを取ったら60秒ぴったりのミドルペースで逃げるのではないかと考えています。

 仮にスローペースになったとしても、4角までずっとスローで流れて最後のよーいドンで着順が決まるとは考えにくいです。なぜなら、それはジャスティンミラノにとって1番やりやすい展開になるからです。中団~後方にいるであろうレガレイラ、コスモキュランダ、アーバンシックが前で気持ちよく走っているジャスティンミラノをみすみす放置するでしょうか?

 レガレイラ、コスモキュランダ、アーバンシックは本当はジャスティンミラノを真後ろからマークしたいところですが、この3頭には先行力がありません。しかし、この3頭は鞍上が馬の特徴をよく知っている人なので、「馬を信じて途中から仕掛ける」という選択肢を取ることができます。ジャスティンミラノが先行馬である以上、「動かないと勝ち目はほぼない」という状況になる可能性もありますし、ジャスティンミラノの直後にスッとつけていない限りこの3頭のどれかは遅くとも直線に入る前から動いてくると予想しています。特にルメールさんとミルコさんは日本ダービーの勝ち方を知っており、臆することなく大胆な戦法を取れる騎手です。

 ジャスティンミラノは最終直線まで大きな負荷なく回って来られれば、あとは自慢の切れ味を発揮するだけ。先行するということは後方からマークされることを意味しますが、前の馬のオーバーテイク処理が楽にできることも意味します。なお、直後の馬や捲ってきた馬にプレッシャーをかけられるとどうなるか、というのは馬券の当たり外れを抜きにして個人的に興味がある点です。

有力馬短評

[07][15]ジャスティンミラノ

 厩舎力の高さが操縦性、瞬発力、追走力を兼ね備えた無敗の皐月賞馬を生み出しました。1992年のダービー馬ミホノブルボンを想起させる馬です。奇しくもブルボンと同じ枠番ですね。皐月賞前の時点では、実戦経験の薄さが気になっていましたが、あの殺人的なペースを平気でこなしてみせました。皐月賞が高速馬場になると、先行力のあるマイラー寄りの馬に有利となるもので、普通ならジャンタルマンタルが押し切っていても全くおかしくなかったはずです。そのジャンタルマンタルを外から差し切ったという点でも能力の高さが伺えます。

 逆に言えばこの馬もマイラー寄りなのかな?という考えもできます。母マーゴットディドはイギリスの千直GIの勝ち馬でしたし、この馬にとって距離延長はあまりいいとは思えません。まあそこはドウデュースをダービー馬兼グランプリホースにしてしまう厩舎なので心配するだけ無駄な気もしますが。

[01][02]レガレイラ

 ホープフルSを勝って挑んだ皐月賞では高速馬場に苦しめられて6着。ルメールさんを背に巻き返しを図る構図は2017年のダービー馬レイデオロを想起させます。ウオッカちゃうんかい。皐月賞の直前のレースで高速馬場を悟り、レガレイラは厳しいだろうなと思っていましたが、それでも6着。個人的には「よく頑張りました」という感想を抱きました。「やはり牝馬に皐月賞は厳しい」という声もありましたが、皐月賞の敗因は決して「牝馬だから」ではないです。桜花賞を回避したのに皐月賞がマイラー向きの展開になったのは皮肉としか…。

 もちろんダービーも高速馬場になりがちなレースですが、「マイラーほど有利」になるような極端なレースにはなりません。ただ先行力のなさは今回もネックになりそうです。前述の展開予想でも言及しましたが、あまりにも緩い展開になればルメールさんがレイデオロの再現を期して向正面で仕掛けてくるかもしれません。

[06][12]シックスペンス

 無敗のままスプリングSを圧勝して才能の片鱗を見せるも、皐月賞回避からのダービー直行となりました。シチュエーションとして近いのは1996年のダービー馬フサイチコンコルドでしょうか。ジャスティンミラノとの対戦経験がない馬の中では、この馬が最も「未知の魅力」「最終兵器」感を醸している印象があります。

 上段でフサイチコンコルドを持ち出しておきながらこんなことを書くのもどうかと思いますが、実は皐月賞トライアルが終わるまでに賞金を積んでおきながら皐月賞もしくはNHKマイルCをスキップした馬のダービーにおける成績は芳しくありません。具体例を出すと、ペルーサやダノンプレミアム、ワーケアといったあたり。また、スプリングSが共同通信杯以上のスローペースだったのにもかかわらず、シックスペンスの上がりが33秒台だったのも気になるところです。実質マイル戦しか経験していないような状態でどう挑むのかにも注目です。

[04][08]アーバンシック

 百日草特別での強い競馬がこびりついて離れません。間違いなく素質は高いんだけどなかなか勝ち切れずヤキモキさせる感じ…気性的な難しさも含めて2012年のダービー馬ディープブリランテを想起させるタイプです。ブリランテと違って前で競馬できるタイプではありませんが、京成杯も皐月賞も比較的早めにスパートをかけており、持続力の長い脚を持つ馬です。極端な切れ味勝負にならなければ上位進出も何らおかしくありません。

 戦績面のイメージはディープブリランテとしましたが、戦術面のイメージはどちらかというと2021年のダービー馬シャフリヤールに近くなるかもしれません。圧倒的人気を背負った皐月賞馬ジャスティンミラノを目標に末脚を発揮してハナ差で…という武史くんがかつてエフフォーリアでやられたことをそのままやって勝ったらエモくないっすか?そうなったらそうなったで戸崎さんのトラウマが増えてしまいそうですが。

[03][06]コスモキュランダ

 初勝利は4戦目、重賞初勝利の弥生賞は7戦目でこの時の単勝は34.9倍。皐月賞でも最後に追い込んで2着。叩き上げから頂点を目指す姿は私が初めて見たダービー馬であるワンアンドオンリーを想起させます。父アルアインが好きで、弥生賞ではいい思いをさせてもらったこともあり、この世代では最も目をかけている存在です。

 イメージとしては「先行力と引き換えにスタミナを得たアルアイン」であり、この馬ならダービーで距離の壁に泣いた父の無念を晴らすこともあるのではないかと思っています。皐月賞で中団から進出してジャンタルマンタルを差し切ったようにそもそもの能力も高いです。ただ正直、東京替わりにいいイメージがなく、切れ味勝負になってしまったらノーチャンスだと思います。弥生賞のように途中から動いてサバイバルレースに持ち込めれば面白いと思っており、そういう意味では弥生賞時の鞍上が戻ってきたことをプラスに捉えたいですね。

[06][11]シュガークン

 2月デビューの良血馬がなんとかダービーに間に合わせて来ました。2000年のダービー馬アグネスフライトを想起させる臨戦過程です。私はドゥラメンテにもキタサンブラックにも特に思い入れがなかったので、大寒桜賞の時点では「血統で過剰人気してるのでは?」という印象を抱いていましたが、重馬場を逃げて上がり3F35秒6でまとめました。青葉賞でも卒なく先行して上がり3F33秒9で勝ち切っています。普通に強いです。

 前述の通り、同父のタイトルホルダーや半兄のキタサンブラックのような馬と考えると、本格化するにしても菊花賞以降と考えられ、現時点の完成度でコースレコードを叩き出した皐月賞上位組と比べてしまうと、さすがに頭までは厳しいかなという印象です。ただ武豊さんが主導権を握った時の怖さは周知のところであり、タイトルホルダーやキタサンブラックもそうでしたが楽に逃がすと怖い存在となりそうです。

[07][13]シンエンペラー

 前走はメイショウタバルの暴走もあり、アメリカ競馬みたいな展開になりました。緩く追走して最後にピュッと抜け出すのが欧州競馬であり、結果的に今年の皐月賞は欧州血統のこの馬には難しいレースとなってしまいました。現に上がり3Fのタイムは前にいたジャスティンミラノより0.1秒遅く、前有利の高速馬場なのに自身より後ろにいたコスモキュランダには勝ちタイムで0.4秒差をつけられています。完敗と言っていい内容でしょう。

 逆転の可能性があるなら「ダービーが皐月賞と真逆の流れになったらどうなの?」というところ。前が速すぎて好位につけられなかった皐月賞とは違い、スローになったらジャスティンミラノを好位置でマークできるのではないでしょうか。瑠星くんならシュガークンの番手とかもありそうですけどね。というか、33秒台前半の切れ味を発揮した実績がないので、ジャスティンミラノより前にいないと厳しいかもしれません。

注目穴馬

[03][05]ダノンデサイル

 京成杯のレベルが例年よりも高いと踏んで皐月賞で本命視していた馬の1頭です。皐月賞では直前で除外となりましたが、そこまで深刻なものではなかったようで、今回もきっちりと仕上げて出走に漕ぎ着けることができました。先行できることからも、無事に皐月賞に出ていれば4着はあったのでは?と思っています。

[02][04]ビザンチンドリーム

 前走はただでさえ高速馬場で前有利なのに思いっきり出遅れてしまいました。成長途上でまだまだ課題が多い馬という印象が強いですが、五分にスタートを出て、中団後方につけて、捲り上がる有力馬について行けばワンチャンあるかもしれません。基本的にダービーで穴を開けるのは皐月賞で惨敗した馬です。

[07][14]ゴンバデカーブース

 試金石だったホープフルSは出走取消となり、マイル戦しか経験していない状態で日本ダービーに臨むことになりました。NHKマイルCは上位2頭がマイラーとして強すぎましたが、休み明けとしては上々の結果と言えるでしょう。距離適性があったとしても、現時点では分からない以上できればスローで流れて欲しいところです。

オカルト

頭で買ってはいけない帽子色?

 2010年代に行われた10回のダービーのうち、1枠の馬が4勝しているわけですが、残りの6回はすべて違う枠の馬が勝っています。

1枠:エイシンフラッシュ('10)、キズナ('13)、ワンアンドオンリー('14)、ロジャーバローズ('19)
2枠:マカヒキ('16)
3枠:オルフェーヴル('11)
5枠:ディープブリランテ('12)
6枠:レイデオロ('17)
7枠:ドゥラメンテ('15)
8枠:ワグネリアン('18)

あれ?4枠は?と思ったそこのあなたにクイズです。4枠からダービーを勝った最後の馬は何でしょう?

いくら何でも来なさすぎじゃない?ビワハヤヒデ、サトノダイヤモンド、ダノンキングリーなどが2着に来ていますが、これほどの馬ですら勝てないとも言えます。さらに言うと、さっき内枠有利のくだりでちょっと触れましたが、日本ダービーが18頭立てになった1992年以降6~9番から勝ち馬は出ていません。4枠に隣接している馬番もダメみたいですね。ちなみに、タニノギムレットさんの予想は4枠です。歴史に抗う破壊神らしい予想ですね。

悔しさの歴史を喜びに変える馬は二冠馬にあらず?

 グレード制導入以降、皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した馬は11頭います。二冠馬が誕生した計11回のダービーを勝利した騎手のうち、「ダービー初勝利」かつ「それより前のダービーで2回以上3着以内を経験していた」という条件に当てはまる騎手は何人いるでしょうか?

 …これもシンボリルドルフの岡部さんだけです。逆にグレード制導入以降「ダービー初勝利より前にダービーで2回以上3着以内を経験」したうえでダービーを勝った騎手は以下となります。

84年岡部幸雄(75年3着、83年3着)騎乗馬:シンボリルドルフ
93年柴田政人(88年3着、91年3着)騎乗馬:ウイニングチケット
98年武豊  (93年3着、96年2着)騎乗馬:スペシャルウィーク
00年河内洋 (96年3着、98年2着)騎乗馬:アグネスフライト
07年四位洋文(00年3着、05年3着、06年3着)騎乗馬:ウオッカ
09年横山典弘(90年2着、03年2着、04年2着)騎乗馬:ロジユニヴァース
12年岩田康誠(07年3着、10年3着)騎乗馬:ディープブリランテ
17年C.ルメール(15年3着、16年2着)騎乗馬:レイデオロ
18年福永祐一(07年2着、13年2着)騎乗馬:ワグネリアン

 いわゆる「悲願のダービー初制覇」ですが、二冠馬はルドルフしかおらず、皐月賞不出走のアグネスフライトを除けば皆1冠目で敗れています。何が言いたいのかというと、「2018年と2019年で2着に入り、ダービー制覇が期待されている戸崎さんがダービーを勝つとしたら皐月賞で負けた馬ではないか?」ということです。

 逆に言えば2021年と2023年で2着に敗れている武史くんが乗るアーバンシックは皐月賞で負けています。騎手の夢を叶えてくれるのはこっちかもしれません。タニノギムレットさんも4枠が勝つと予想していますし。

最終結論

オカルトなんて結局与太話です。いいと思った馬を買えばいいんです。
◎コスモキュランダ(好きだから)
○ジャスティンミラノ(強いから)
▲アーバンシック(ロンスパ性能)
△ルメール(レガレイラ)
☆ダノンデサイル(オッズ妙味)
☆シュガークン(未完成だが展開向けば)

それではみなさんダービーを楽しみましょう!

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