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音圧について by 上司

2010年8月、European Broadcast Union(欧州放送連合)のメンバーで構成された「PLoud」というグループが、音量統一と音量差補正を目的にラウドネス正規化を提唱しました。

(PLoud: 英語のProudと掛けた造語。音量にプライドを持つ、という意味合いを含む)


PLoudのサイトにはこう書かれています。

The switch from audio peak-normalization to loudness normalization is probably the biggest revolution in professional audio of the last decades
Audio Peak Normalization(ピークを基準にした音量設定)からLoudness Normalization(ラウドネスを基準にした音量設定、ラウドネス正規化)への変化は、過去数十年でプロオーディオ業界に起きた最も革命的な事である。


その後、放送局やストリーミングサイトを含む様々なプラットフォームでラウドネス正規化が導入され、俗に云う「Loudness War(音圧戦争)」は終焉を迎えました。


90年代に最盛期を迎えたCD黄金期の超音楽バブル時代。

音圧が高い = 他のCDより目立ってカッコいい

という間違った方程式が生まれたのは必然でしょう。


そんな時代から、テクノロジーの進歩とともに、デジタル配信〜ストリーミングへと、音楽を聴くプラットフォームは変化してきました。


ストリーミングで音楽を聴くのが主流になったいま、冒頭で書いた方程式が以下のように変わっています。

音圧が(無駄に)高い = プラットフォーム側でカッコ悪くされてしまう

そして以下の正しい認識が広まりました。

音圧が高い ≠ 音が良い

(これがPLoudの最大の功績だと思います)


世界で最も使われている音楽ストリーミングサービス「Spotify」は、シングルなら曲単位、アルバムなら、全曲を通して最もラウドネスが高い箇所を分析し、そこを基準に音量が調整されます。

音圧を上げ過ぎれば、強制的にSpotifyのラウドネス基準値へ下げらてしまいます。これはApple MusicやTidalの様な他のストリーミングサービスでも同じですし、動画配信サイトのNetflixやYoutube、ニコニコ動画などでも全く同じ処理が施されます。



これは音圧の高さという表面的なモノではなく、音楽を創る人間が本質的な音の良さ・純粋に音楽的なストーリーで勝負する時代になったという事。

これは私達クリエイターにとっては良いことではないでしょうか?



余談ですが「Ozone 8の方が音圧があって良い。Ozone 9はあまり音圧が出ない」といった意見を聞くことがありますが、Ozone 9の方がより賢くラウドネス正規化に対応する仕様になっています。

ここまで読んで下さった方には、どちらが良いのかは明確だと思います。


By 上司

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音楽やポストプロダクション向けにソフトウェアとハードウェアを開発している、iZotope社の日本公式ツイッター担当です。日本公式サイトが完成するまでの期間限定noteだったのですが、なんだかんだで継続しています。

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