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老犬のおむつを作る

7月某日 

わが家のパグ犬ちょこは、13歳からおむつをつけはじめ、もう2年になる。最初は、ち○ち○の先を腹巻きのように巻いておしっこを受け止める雄犬用マナーバンドを使っていたけど、パグは胴回りが横綱並だ。市販品はLサイズでも尺が足りないので、ガムテープで補強して使った。
もう、見栄えが情けないのもいいところなので、犬用おむつを買うことになった。

そうしたら、これが激しく高い。そして、胴回りだけ横綱級のパグに哀しいほどサイズが合わない。というわけで、ネットで赤ちゃん用のおむつにしっぽの穴を開けて使えばよいという素敵情報をみつけて、ありがたくそれに従うことにした。

二十数年ぶりに、紙おむつを買った。夕暮れの町を、紙おむつの袋をぶらさげて歩く。一瞬時が止まったようで、鼻の奥がツンとした。

それ以来、もう2年紙おむつを買い続けている。ヒトならやがてサイズが変わり、おむつを卒業していくのに、老犬おむつはずっとテープ式Lサイズのままだ。
雄犬はおしっこをヒト用おむつのおしり部分で受け止めるので、その部分が薄いパンパースでは漏れてしまう。だからムーニーかメリーズしか買わない。まさかそんな理由で選ばれているとは、ムーニーもメリーズも、作っている人は思いもしないだろ。

買ってきたら、おむつにしっぽの穴を開けて、切り口から高分子吸収体がこぼれおちてこないよう、ダイソーのテーピング用テープを貼る。ネットでは丸い穴を開けて、放射状に切り目を入れたサージカルテープ(高い)を貼るとあったけれど、穴は三角に開けて、2枚の安いダイソーのテープを切れ目を入れながら貼るほうが効率がいいと開拓した。滑り止めのサスペンダーのクリップがしっかり止まるよう、おむつの端は折ってホチキス止めしておくようにもなった。

どんなに底値でも、おむつの買いだめはしない。使われずに残るおむつを見る哀しみを、知らぬうちに避けている自分がいるんだと思う。
2週間に一度、テレビを見ながらおむつを改良する。最初は一袋で2時間ほどかかった作業が、どんどん熟練してきて、最近は1時間のドラマ1本ほどで作れるようになった。切って貼ってホチキスで止める。テープはダイニングテーブルの端に貼り付けながら切っていく。実に手際がよくなった。

この作業は、さほど遠くない未来にもうする必要がなくなるんだろう。心の何処かで、ちゃんとわかっている。だからこそ、その時が決してこないかのように、ただ無心に繰り返す。


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