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母の家を片付ける その後2−いまだ続く「あれはどこに行ったのか」電話

母の家の片付け、もうここで終わりじゃー! と決めた日からほぼ3ヶ月が経過しました。冬は過ぎ、桜が咲き。新緑の季節となった。

寒くて眠れないという驚愕の報告におののいて買ったエアコンも、しばらく出番はなかろう。もうこのまま平和にフェードアウト。

と思っていたんですが、いやあ。

続々とかかってきますよ。
電話が。

「あれが見当たらない」
「どこに置いてあるの?」


それで、その電話を受けるたびに、なんだか気持ちがずしんと重くなってしまうわけです。これ、とっても不思議。

おそらく、電話するほうは結構気軽にかけてきているんだと思うわけです。みつからん! どこやった!? と。

で、わかるものについては「◯◯の場所に置いたよ」と伝える。
とはいえ、置く場所等はすべて説明しながら整理して、勝手に捨てたものは何もないわけです。
だから、「みつからない」と連絡してくるモノは、単に自分でどっかに置いて行き先がわからなくなってしまったものも多い。聞かれてもわからないから「見たこともありません」と返すのだけれど、それでもやっぱりズンと気が重くなる。

それはたぶん、「みつからない」という思いが「あんたがどっかにやっちゃったからわかんないのよ」「娘に捨てられちゃったのかも!」みたいな、なんつか被害者意識みたいなものに直結して電話をかけてくるように思えてしまうからなのかも、と。
いや、違うのかもしれないけど、でも連絡をもらうたびに責められているような気持ちになってしまう。ああ、もう、一人っ子長女気質。つらたん。

母のものの言い方にも問題があり、感情がストレートに出てしまうので、「ない!」という不安や焦りみたいなものが、不機嫌さや高圧的な声のトーンとなって伝わってくる。なんつか、もうちょっと「みつからないんだけど、心当たりないかしらー?」ぐらいのトーンで、優しく言ってもらえたらだいぶ違うのに。。。。。

そんな中。

ちょい決定的な出来事がありました。

夜の11時ごろ。私はもうウトウトしておったところに

「あんた、おじいちゃんの描いた七福神の絵、どこにやったの?」と電話が来た。

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耳が遠くなりだしているし、高齢だから仕方ないのだけれど、背後では大音量でテレビの音がしており、それに負けない怒鳴るような大声に驚いて、スマホを思わず耳から話す。

半分眠っているのでぼんやりしつつ、

ーふぇ? し、しちふくじん?」と返す。

「寝室にかけてあったでしょ!」

ーえっと、前とは別の場所に確かかけたはずだよ。入り口近くの壁にかかってないかな?

「ないわよ! どこにもないのよ!」

ーうーん。寝室にあるはずなんだけど

「どこにあんのよ! なくなってるのよ。あんたね、あれはおじいちゃんの形見なのよ!」

私、なんで怒鳴られているんだろう。こんな夜中に。

ーとにかく、何一つ勝手に捨てたものはないので、必ずどこかにはあるはず。いまどこかはわからないから、そちらに行くことがあったら見るから。

ここで、がちゃんと切られた。
あ、スマホだからがちゃんとは言わないのか>笑
とにかく、何も言わずにここでブチッと切られました。

なんかね。もう悲しくてね。
すべてよかれと思って、転ばないように、整理整頓できるようにと重労働でお片付けをして、心身ともに疲弊して帯状疱疹にまでなって

それで喜んでもらえたのかと思ったら、ものがみつからない度に、あたかも「あんたがどっかにやったんだろう」というような連絡が来る。
この日は、大声で怒鳴られて、なんだかもう最後の糸がプツンと切れたような気になって、思わずメッセージを返したのでした。

「怒鳴られているみたいで、ほんとにダメージ大きいです。もう片付けとかしないほうがいいですね」

ほんとは、もっと辛辣なことをいっぱい書きそうになった。
「もし友だちなら絶交していると思います」とか
「しばらくもう行きません。連絡もしないでください」とか>笑

いや、でもそんな大人げないことをしてはいかんいかん、と踏みとどまった私は偉いと思う。母は、こういうときに踏みとどまれないから、だから何度もいろんな人と絶交している。ほんと、親子だけど性格はまったく違う。

まあ、とにかくなんだか、腹がたったというより、激しく傷ついたというか、なんだかもう、悲しくて嫌になっちゃったんだと思う。

そしたらね。


1時間後にこんなラインが来たわけですわ。

「ほかの場所にかけてありました〜。お騒がせしました!」



………。

こういうのを「かわいい」とか「憎めない」とか言われて、彼女は生き延びてきたのだと思う。まあ、憎めないといえば憎めない。

でもね、私はもう疲れちゃったのよ。こんなことばっかりで。
怒りまくった大きな声で、責められるように問い詰められ、不機嫌なまま無言で電話を切られるようなことが人生で何度もあったら、心は削られていく。いつまでも、いつまでも許し続けなくちゃならないなんて、なんだか不公平じゃん。

というわけで、自分に余裕があれば

「もういい加減にしてよねー!」みたいなノリで返せるんだけど、今回ばかりは

「ほんとにもう無理です」

とだけ返したら

「私の言い方が悪かったのね〜、ごめんなさい!! いつもいづみちゃんに言われるけど、言い方が悪いのね。これから気をつけます! 慌てて電話しちゃったので〜、ごめんなさい!!!」

って、返事が来ました。

かわいいよね、うん、かわいい。

でも、返信できません。
そのまま、もう連絡取っていないのだった。


こんなことをいつまでやるのかなー。
やれなくなったら、悲しいんだと思う。

でもなんか疲れちゃったよ。

パトラッシュ。



というわけで、片付けたよ! 終わったよ! よかったよー!
と思っていたことが、微妙に変形しつつあるこの頃です。

まだ書くことがあったとわ。

もうないことを祈ります>笑

お久しぶりの投稿でした。おやすみなさいー。



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