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現代に生きる「虫干し」の文化 9月−4

 日本には春と秋に、2回衣替えがあります。制服などが変わるのは6月1日と10月1日。このうち、冬服へ変わることを「のちの衣替え」と呼ぶこともあります。この時期は着物を部屋に広げて干す「虫干し」が行われてきました。日本の風土に根付いたこの習慣、現代でも十分生かせそうです。

「虫干し」は年3回だった

 今のように洗濯機で簡単に服が洗えなかった時代、日本人は「夏の土用干し」「秋の虫干し」「冬の寒干し」の3回、着物を箪笥や行李から出して干していました。夏は梅雨の間に溜まった湿気を、秋は夏に増えがちな虫を、冬は一年の中で最も乾燥した空気を使って、着物の湿気を取ったのだとか。多湿な風土の日本だからこその、季節の特徴を上手に生かしたお手入れ方法だと思います。

 着物を一枚づつ衣紋に掛けて、正午を挟んだ4時間程度、部屋で陰干しをするのが正しい方法。この時、同時に箪笥や行李の中も埃を払って、そうじをしました。梅雨の間の湿気がたまりがちな秋の虫干しでは、特にこのそうじが、現代でも重要な意味を持ちます。

秋にクロゼットのそうじが必要なわけ

 ダニなどの害虫は、湿度と温度が高い梅雨時から夏にかけて繁殖します。気密性が高いマンションでは、こうして夏に大量に発生した害虫が、秋口から死体となって堆積を始めます。これを放っておくと、窓を閉め切りがちとなる冬に、アレルギーやぜんそくの原因となってしまうことも。

 衣替えの時期に衣類の入れ替えをあまりしない家庭でも、秋は衣類の点検をするつもりで、クロゼットやたんすの中を一度空け、風を通しながら、掃除機で埃をよく吸い取り、拭き掃除をしましょう。

 押し入れの中や、物入れ、靴箱の中なども、掃除機をかけて拭き掃除をして、さっぱりとしておきたいものですね。

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