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おとなの初体験について、さとちゃんとzoomで語る

コロナでいろんなもんが中止になっちまって、Stay homeでつまんねーなー、てやんでー! みたいなことをzoomで飲みながらさとちゃんとぼやきあっている中で、
「もうさ、ある日突然世界が違うものになっちゃうこともあるわけで、やりたいことはどんどんやったほうがいいよね」
と私が言うと、
「いや、もう人生やり尽くしたから、別にやりたいこともない。いつ死んだって悔いはない」とさとちゃんは言うのである。

ほんとにそうか? まだやったことのないことがあるんじゃないのか。とりあえず、コロナが落ち着いたら、何か「やったことがないこと」をするってのを目標にして今を乗り切ろうじゃないの、という話になった。

人ってたくさんあるカードの中から、興味のあるもの、得意なものや好きなものを選んで生きてるように思う。「やりたいこと」を考えるのはどうしたってその手持ちのカードの中からだけど、めくられることもなく、隅に追いやられているカードの中から、「やろうと思ったこともなかったけど、意外とおもろいんちゃう?」というカードを探す作業は、けっこう楽しい。

さとちゃんは競馬が好きだけれど、ボートと競輪はしたことがないという。ボートって楽しそうじゃん、競輪もかっこよさそうじゃん。ぜひ行こう、行こうということで、コロナが落ち着いたらやってみたいことのひとつに「ボートと競輪を見に行く」をまず、ラインアップしてみた。

それでいったら、私、あれだよ。女の人とエッチしたことないわ、と私が言うと、さとちゃんも「ほんとだ、私もだ」と言う。

「こないだMちゃんが恋人と破局したとき、私はバイだからチャンスも2倍って言ってたよ。限りなくチャンスが減っていくお年頃に、チャンスが2倍ってすごいよ。」と私達はすっかり盛り上がって、「2倍2倍!」「ニバイ、ニバーイ!」と高見山の声色ではしゃいだ(古い)。
でも、じゃあどうやってその相手をみつけるのかについては、私たちのどちらも、何の手がかりも持っていないのだった。

「でもさあ、じゃあさとちゃんとそうしたいかっていうと、それはなんだか違うんだよねー」
私が言うと、ちょっと間を置いてさとちゃんはポツリと言った。

「もしさ、いづみちゃんに女の恋人できたって言われたら、私、ちょっとショックだよ」。

さとちゃんがかわいくて、キュンとした。
でもそれは、やっぱり「そうしたい」たぐいのキュンではなくて、大事な友だちへのキュンで、だから私はたぶん、このカードはめくらなくていいんだな、と思う。面白半分にめくってはいけないカードも、ある。

とりあえず動けるようになったら、そのうちボートと競輪へ行こう。いつ行けるかな。楽しみだな。

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