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愚禿の駄文集1

私は文章をたくさん書いて文章がうまくなりたいもので、フェイスブックでお題目をいただいて、その文章を書くというのを続けてきました。それが100ばかりたまってきましたので、この場でも公開しようというわけです。第一回は10編としました。「ディズニー・荒俣宏・シュバル」「ツノゼミ写真集」「名前について」「緊急地震速報」「下請け工場に行ったとき聞いた話」「徳山出張」「営業トーク」「鶴見線」「戦国武将っぽい名前の野球選手」「野球好きな台湾人の社長にあった話」

そのうち1つだけ公開しますので、あとは100円いただければと思います。どうかひとつ。

「ディズニー・荒俣宏・シュバル」

以前銀座の松屋でウォルトディズニー展をやってました。ディズニーさんは人をつかうのがじつにうまかった。ディズニーランドの誕生は、ディズニーさんの技術力と才能に加え、人徳と人脈の成せるワザだったというのがおもしろかったです。やはりあれだけの仕事はひとりではできないのです。iPhoneをつくったジョブズ氏も、ディズニー氏と同じような人徳や人柄の魅力があったから、あれだけのアップル社の色々なスバラシイものが出来たんじゃないかという気がします。どちらも憧れをもつような素敵な話ですが、私のような、人徳のない凡人にとっては無縁の話のように思います。
そんな中、私が近年衝撃を受けたのは、荒俣宏さんとシュバルさんです。どちらも一人で偉業を成し遂げた奇人であり、自らの偉業を成し遂げるには、必ずしもチームプレイでなくてもいいんじゃないのという例を示したという点で、私は感銘を受けました。荒俣さんは若き日に、「世界大博物図鑑」という図鑑全集を1人で書き上げました。平凡社にこもって執筆活動をしていたのは知る人ぞ知る話。その資料を集めるのに1億円以上の借金をしているそうです。その借金を大ヒットした「帝都物語」の版権で払ったとのことです(Wikipediaより)。一人で書き上げたので、世界大博物図鑑は「荒俣宏『著』」と書かれています。これは図鑑業界にも異例のことです。普通は編集や監修を意味する『編』や『監修』とされます。荒俣さんは自らが納得する図鑑を仕上げるには、すべて自分で仕上げたいという気持ちがあったんじゃないかと思います。
もう一人の偉人はフランス人のシュバルさんです。シュバルさんは本職の郵便配達の仕事をしながら,そのへんの石を拾って宮殿・知る人ぞ知る「シュバルの理想宮」を作ったかたです。じつに愉快な話です。シュバルさんは石を拾って宮殿を作ることを周囲の村人からえらく馬鹿にされていたようです。それでも、それを見返すがために仕事後や余暇を石拾い・宮殿作りに費やし、87歳にして完成させました。その工事は理解者がないために、一人でやっていたというのがなんとも驚きです。
シュバルさんと荒俣さんの偉業は、私にとって凄まじい勇気をくれました。人徳がなくても、チームプレーがへたくそでも、理解者がなくても一人でできることはあるのです。時間と執念を丁寧にかけていけば、一人でも夢を実現することができるのです。私も仕事がイソガシイとか言っていられないようです。命を削ってでも、やりたいことをやることがいいのです。いいわけをしてはいかんですし、仕事をおろそかにしてもいかんです。でも、やりたいことはどんな汚い手段を使ってもやりたい。そういう情念がだいじな気がします。

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