マスコミには責任はないのか？：オリンピック報道とコロナ報道

8月5日の新規コロナ感染者は東京で5千人を超え、全国で1万5千人超えとなっている。

そうした中、一方でオリンピックが続けられていて、あと3日で閉会となる。

反対・延期の世論が強かったにも拘わらず、政府は2021年7月23日にオリンピックを強行した。

「所詮オリンピックが始まれば、世論は変わる」という、日和見世論を見透かしていたように。

確かに変わった。

その一因は本来政府（権力）を監視時として対峙すべきマスコミが積極的にどこのテレビも最近はコロナの話題より、「今日のメダル数」などとオリンピック関連番組を長々と報道している。

メダルを取った選手（選民）は、どこのテレビ局にも呼ばれ、同じ質問・同じ答え。

8月6日のテレビ朝日に至ってはニュース番組なし、なんと21時間オリンピック中継番組。普段建前ばかり言ってる朝日の本質を見た。

同日の毎日新聞も全紙面の半分以上がオリンピック。
新型コロナ関連記事は千葉版と合わせても1/4ページ以下。
最近その他の記事も昨日と同じものが増えている。

そしてNHKはオリンピック以外の番組は、殆どが再放送或いは再々放送。前々から苦々しく思っていたが、最近は目に余る。

マスコミは戦前・戦中、購読者数増加のためだけに国民の戦意高揚を煽ってきたが、今度はそれに加えてテレビの視聴率稼ぎに血眼になる醜い側面を自らさらけ出した。

これで受信料や値上げした購読料払えというのか。ぼったくりの何物でもない。

7月23日現在での東京及び全国の新規感染者は、それぞれ1,359人、全国で4,225人であった。

その時点でも驚くべき数字だったのに、今や、13日間で、その数は約4倍になろうとしている。しかも更に増加する予想が氾濫している。

8月8日にはオリンピックも閉会式迎えるから、もはや中止にはならないが、この感染爆発の責任は誰がとるのか？

政府は、人流は減少しているからオリンピックと感染者増加は関係なく、あくまで感染力が強力なデルタ株の影響と言い張っている。

デルタ株の影響はすでに数か月前から懸念されていて、新規感染者の予測値も出ていた。
それを今更何を宣っている。

都道府県も医師会も言い訳ばっかり・責任なすりあいで何やってきた？
何もして来なかった結果がこれだろう。
「これから病床増やします」「こういう体制を構築していきます」などというのは、未来形ではなく、過去形の話だったのではないか。

よく「首相の責任は？」などという愚門を記者会見やぶらさがり会見で言ってる記者がいるが、自分達の社の責任をどうとるのか？　

「史上最高のメダる獲得数」などと言って金太郎飴のようにどこのチャンネルひねってもオリンピック中心の同様の番組を放送して、国民を煽り、しかも酒造メーカーの宣伝もどの局も流していて、コンビニやスーパーでの酒類販売が禁止されていないのであれば、お祭り気分になり街に繰り出す人々が増加したり、緊急宣言下の禁止要綱を無視する飲食店に限らず、路上飲み或いは友人宅に集まり酒を飲んで大声を出すのを止められる訳ない。

しかもコロナ関連報道が減れば、結局「感染者が増えてもコロナなど大した事ない」という風潮を助長するのが分からんか？　
ミクロ的にみれば、その主張もあながち間違いとは言い切れないが。

この結果、今後益々コロナの新規感染者が増加し、本当に医療崩壊を起こし、貧乏人から死んでいくという命の選別が行われることが現実になれば、今まで口先ばかりで無策の政府・都道府県・医師会の責任は無論マスコミの責任も大きいという事を自覚せよ。
といっても、つい最近までオリンピック開催を批判していたのに、まさに掌を返したようにオリンピックに迎合するマスコミの今回のダブルスタンダードを見れば、トランプ前米国大統領が示唆したように「マスコミ信用するな」という流れになっても、自分達が蒔いた種の結果であると心得よ。

それでパラリンピックの開催はどう論陣（こういうのもおこがましいが）を張るつもりなのか見ものである。

いくら感染の可能性が高いと言ってもオリンピックだけやってパラリンピックは中止とは言えんだろう。

なお、このオリンピック・コロナ報道一辺倒になっている間に、年金生活者の社会保険料の値上がりや介護施設の自己負担額が増えた。こうしたニュースはテレビ・新聞等マスコミは取り上げない。