ロシアによるウクライナ侵攻報道に思う

初めに断っておく。ここで書くことは決してロシア擁護ではない。

当然の事ながら今回のロシアによるウクライナ侵攻のように主権国を武力に任せて侵攻・侵略することは決して許されることではない。

それはいくら米国や日本等の下工作があったにせよ国連総会の緊急特別会合でロシアのウクライナ侵攻への非難決議が193カ国中141カ国の賛成多数で採択されたことでも明らかである。

西側報道による金太郎飴的報道

ところで2月24日ロシアによる本格的なウクライナ侵攻以前からどのテレビ局・時間帯をとっても必ずロシアによるウクライナ侵攻の報道が金太郎飴のごとく流れている

米国それに追随する英国及びEU加盟国を中心にロシアに対する速やかな経済制裁、戦争犯罪に対する罪でICC(国際刑事裁判所)調査、西側諸国によるウクライナへの武器供与のニュースを、また、西側報道によるウクライナ惨状など、どの局もこれでもか、これでもかと同じ映像やしかも何日も同じ映像を流し続け、ロシア研究者、軍人評論家と称する連中が、どの局にも朝夕出演し、ほぼ毎日同じこと言っている。
民放の情報番組ではタレント連中が適当に責任のないコメントを発してギャラを貰っている。

我が国の対応と懸念

我が国はこれら“西側諸国”の一員としての“自覚”か参加国中5ケ国が旧植民地主義・帝国主義であった(日本も加えれば6ケ国)G7に合わせた経済制裁の他、防弾チョッキ・ヘルメット・防寒服や非常用の食料をウクライナに送った。

更に欧米がロシアを調査させよう提起しているICCにICC検査官を派遣するとか、また、化学兵器に対応できる防護マスクと防護衣、ドローン(小型無人機)を送ることを表明した。

ここで注目すべきは、ドローンは市販品で軍需用に転用されないという詭弁である。
市販品ドローンでも空撮して軍事用に使用できるのは明らかである。

更に、こうした疑問を持つとインターネット上では“ぜひ攻撃用に使用して役立ててほしい。日本の敵であるロシアと戦っているウクライナを助けることは日本の国益である。“ などとドローンをウクライナに送ることに肯定的な意見が多いのは、日本のマスコミの情報操作の成果であろう。
これが中国に送るとなれば、何の支障もなく送れるであろうか?

西側に都合のいいように製作された報道を基に日本でも一方的な見方を伝え、加えて連日のようにロシアだけでなく中国・北朝鮮の脅威・悪口をコメンテーターと称する連中に振って言わせれば、国民も洗脳され、防衛費(何と言い換えようが軍事費)をGDPの2%以上、敵基地攻撃(反撃能力という言葉の遊び)などと威勢のいいことを言っている、時の政府に賛成するようになるのだ。

更に、物価高まで円安対策を取らない政府・日銀の無策の結果ではなく、ロシアのウクライナ侵攻のせいという論調にさえも共鳴し、物価高をも容認するようになる。
日銀総裁や安倍元首相は庶民のように毎日安いスーパー探して買い物することないだろう。
テレビに出てくるエコノミストという輩もどうせ株で儲けて我々一般庶民ではないだろう。

ついには関東大地震の際の朝鮮人迫害のように在日ロシア人に対する憎悪・人権侵害迄も許容される社会となるであろう。

筆者には、こうした報道の在り方に以前から違和感を感じていた。
(何もウクライナ問題だけではないが、とにかく米国の意向に沿った報道が多すぎる。)

● まず、何故インタビューに答えるウクライナ人は圧倒的に英語が達者な
    者ばかり現れるのか?
● 米国や西側のウクライナへの武器供与・訓練はロシアによる侵攻前2月以
    前から継続的に行われていたのではないか? そしてそれらはアフガニ
       スタン等で散々人を殺したものではないのか? 米国も実践で実績があ
       ると強調している。  
● 結局武器供与という実質武器輸出で利益を得るのは米国ではないのか?
   ウクライナも戦争終結後米国の都合のいいロシアへの防波堤として利用
      されるだけの国になりかねない。

そもそも米国はじめ西側諸国及び長年パレスチナを抑圧し続けているイスラエルは今回のロシアを批判できる立場にあるのか?


トンキン湾事件
をでっちあげて始めたベトナム戦争を含め米国がでっちあげて始めた戦争を顧みればいい。

その経緯の一端が【テロとの戦争から20年】歴史の記憶 ーベトナム戦争、湾岸戦争、9.11からアフガン、イラクへ(小林恭子) - 個人 - Yahoo!ニュース
で元朝日新聞東京本社編集局長外岡氏が以下のように述べている。

● 世論誘導
湾岸戦争では初めて「スマート爆弾」(精密誘導兵器の1つで、レーザー光線やテレビカメラを利用し、目標に爆弾を誘導する)が使われて、CNNが繰り返し報道して、精密爆撃しているとか、綺麗な戦争をやっているというイメージづくりをした。

●  アフガニスタン侵攻時、米軍が2か月でカブール支配した内幕
CIA(中央情報局)が馬に乗って地方に侵入して、部族長に現金を配った。
その時の内幕をワシントンポストの記者ボブ・ウッドワードが『ブッシュの戦争』(日本経済新聞社)という本に後でまとめ、その本にそのまま書いてある。

アメリカのフェークニュース例
(出所)二村伸解説委員;NHK時事公論 2021年2月3日 ;湾岸戦争から30年 揺らぎ続ける世界秩序と日本の役割

アフガニスタン侵攻では米国だけでなくNATO軍もアフガニスタンに派兵しているが、どれほどの一般人を殺害したのだろうか? 

この時、「何度も誤爆と報じられた時も米軍は認めなかったし、認めても「兵士と民間人の区別がつかない」と戦争で常套的に使われる言い訳を繰り返した。

また、この時米国はすでにバンカーバスタ-を使用したり、ゲーム感覚でドローンで平然と人殺ししていた。

コソボ紛争では欧米は空爆で町々を破壊し、米国は劣化ウラン弾を多量に使用した。

米国は古くは太平洋戦争の時、無差別空襲や原爆投下1日で数十万人もの日本人を殺したではないか! また火炎放射器という非人道的兵器を日常的に多量に使用していたではないか!

ベトナム戦争でも枯葉剤ナパーム弾を雨あられと投下し、またソンミ村のような民間人皆殺しのような残虐行為を平気で行っていたではないか!

また2003年のイラク戦争においては、米国や英国は国連安保理決議なしでイラクに侵攻し、一国の大統領を拘束・殺害した。

更にてめー達米国が大量に保有しているくせに「イラクが大量破壊兵器を隠している」という国連総会で戦争の大義と演説した事が全くの嘘であったことを想い出すがいい。
結局、この戦争で利益を得たのは米国石油メジャーだった。

こうした事を欧米・日本のマスコミは今回のようにしつこく追及してきただろうか? 
日本が米国の嘘に付き合って参加したイラク戦争の総括も満足にできていないではないか!

ベトナム侵略戦争・アフガニスタン侵攻、イラク侵略戦争で非人道的で残忍な武器・やり方で民間人の大量虐殺を重ねながら、米国は自分達が訴追されないようにICC非加盟国である。ロシア・中国も同様だが。

長年不法占拠を続けるイスラエルがパレスチナに好き勝手な事をしても米国はイスラエルの事となると国連で拒否権を使い続けている。
それが、ロシア・中国を念頭に拒否権を使う際には「説明責任」などと言い出した。
自分が今まで取ってきた姿勢を自分で変えられるのか? それこそ世界で監視しよう!

益々増長する米国の執拗さ・傲慢さ及びそれを黙認するマスコミ

制裁に賛成しないインドを強く牽制・恫喝したり、ソロモン諸島が中国に接近すれば、恫喝・脅迫したりとなりふり構わない。

更に「政治と無関係」と標榜していたスポーツ界が次々ロシアを締め出す。或いはロシアが得意な競技の参加資格等のルールを変える。
これも裏で米国が音頭をとっているのであろう。

しかもG20の時や国連総会でロシアが発言しようとすると欧米中心に退席するという子供じみた事がまかり通る。人権委からロシア排除もそう。

日本政府及びマスコミも今迄以上に米国に忖度して、いい子ぶっている。

防衛費(軍事費)をGDP2%以上とすれば軍事費は世界第3位となり、ロシアより多くなる。
それでも更に米軍駐留のための思いやり予算の必要があるのか? 
いつまでもいい子ぶってる財源はないと思うが。
いざとなったら、財源は消費税をまた上げるとか社会保障費を減らして老人から搾り取ればいいと考えているのだろうか?

米国が反対しないことをいいことに、イスラエルが空爆でパレスチナの町々を破壊し、パレスチナ人を殺害した時、欧米及び日本のマスコミは、これほどしつこく報道しただろうか?

全ての日本のマスコミは、いいかげん金太郎飴的な狙い撃ちした他国の悪口だけを言う報道から内政問題のもっと突っ込んだ報道をしたら
物価高はウクライナ問題前から進んでいる。

それとウクライナ避難民(難民)を取り上げるなら、何故他の国の避難民・難民及び単に安い労働力確保のためだけの“外国人留学生”の置かれた立場・問題を正面から取り上げぬ!

NHKはこうした問題を特集で取り上げる場合があるが、定時ニュースは自民党の報道ばかりで我が国には野党が存在しないような印象である。
尤も連合も国民民主党も自民党にすり寄り、維新は何を考えているか分からない。
立憲民主党は党首からして迫力ないし。

戦争には原因がある。太平洋戦争だって原因があった。
そのため戦争ではいつでも双方で言い分や嘘・誇張があり、一方的な報道は控えるのが報道の在り方だと思うが。 
このままだとむしろ我が国の中でいつのまにか77年前以前への回帰、人種・民族間の差別・いじめ、内政への無関心を増長することになろう。

ところで、連日の報道でロシア軍は予想されていたより弱かったことが暴露された。
その原因解説もちょうちょうしい。
これが米国の真の狙いだったかも。

案外米国が分裂状態にある内政より、一枚岩になりやすい外交に目を向かせるため、また自分の味方(忠犬)を増やし(膨張主義)、ロシアを封じ込めるため、そして“味方”となった国に武器を売る為用意周到にロシアをウクライナ侵攻に誘導したのではないかとも思える。それが米国の歴史そのものであるからである。

そうであるなら日本のマスコミも米国の手の上で弄ばされているという事になる。
マスコミの世論調査も散々騒いでいる事項を質問し、国民も連日報道されることに沿って答え、日本政府もこの出来レースの世論調査結果を利用して世論を反対意見が通りにくい方向に持っていく。
2回も総理の座を投げ出し、本来引退して貰いたい御仁の最近の発言の勇ましい事。それと自己弁護。見苦しい。
最後に再度言いたい。
このままでいいのか日本。
マスコミしっかりせい。
マスコミの役割を再確認し目を覚まして権力に阿るな!

77年以上前に戻ることなかれ!

戦争関連の写真を載せるが、Pars Todayというのはイランの国営放送のサイトで、その報道内容が疑わしいと感じる人もいるだろう。
しかしながら、こうした写真が出回ればそれを信じる人もいるのだ。

戦争報道の公平さというのは簡単な事ではないという事を肝に銘じて報道して欲しい。

東京大空襲と原爆投下約8ケ月後の広島市
ベトナム・ソンミ村虐殺事件とオーストラリア兵によるアフガンでの戦争犯罪
米軍によるイラク・モスル空爆とイスラエルによるパレスチナ空爆


本当に有難うございます。励みになります。元々書くことは好きなのですが、一旦書き出すと長くなります。こんな時、絵心があればと思います。