《ODAの実態を見る!》その1
私は現在73歳、過去25年間以上約30ケ国で水・衛生・環境分野で様々なプロジェクト、様々なアサイン(業務担当)で旧OECF (Overseas Economic Cooperation Fund、海外経済協力基金)、旧JBIC (Japan Bank for International Cooperation、国際協力銀行)、旧JICA、(Japan International Cooperation Agency、国際協力機構)、現JICA、ADB(Asian Development Bank、アジア開発銀行)プロジェクトに携わってきました。
今は年齢と後に詳述するように、あまりにも馬鹿げたプロジェクトに霹靂し、ほぼ引退した感がありますが、特に10数年程前からは、ODAコンサルとして働く以前に約23年の水・廃棄物処理の現場経験に裏打ちされた得意の施設の運転・維持管理の実技指導分野に携わってきました。
これは正式な受注アサインも数件ありましたが、実態は途中でにっちもさっちもいかなくなってから殆どが自社負担でプロジェクトに携わる、或いは尻拭いの一翼を担わされてきたようなものです。
一方、この業務は相手国の人材をその国事情及び人材の能力に応じ柔軟に相手国の人材育てる(ワンパターンのやり方ではないという事)という意味で楽しく・やりがいもありました、と同時に社内コンサル的な役割としてプロジェクト全体の反省点や今後の提言を行ってきました。
尤もこの点は、一緒にプロジェクトに携わった一部同僚を除いて社内で殆ど顧みられず、同じ失敗を繰り返していたと感じていますが。
首題を見てODAを高尚なものとして崇めている読者には、以後の話はそれこそフェイクだと思われるかも知れませんし、こんな事、既に知ってるよと言われる読者もいるかも知れません。
また、外務省やJICA等援助実施機関はプロジェクトの中間評価や事後評価調査で、きちんと、しっかりと(役人・政治家が好きな言葉です)プロジェクト評価され公開されているのに余計な事を言ってくれるなと言うでしょう。
更に、以後の事例は、私が少しでも関った水・衛生分野でのことであり、他分野は違うと信じたいですが、仲間内でこうした話をすると他分野でも少なからずあるように感じます。
まずODAとは何でしょう?
ODA(Official Development Assistance、政府開発援助)の定義は我が国の代表的政府開発援助機関であるJICAのホームページには以下のように記述されています。
「開発途上国の社会・経済の開発を支援するため、政府をはじめ、国際機関、NGO、民間企業などさまざまな組織や団体が経済協力を行っている。これらの経済協力のうち、政府が開発途上国に行う資金や技術の協力を政府開発援助(ODA:Official Development Assistance)といい、次に挙げる3要件を備えた政府間ベースの援助が、ODAの定義(経済協力開発機構(OECD)下の開発援助委員会(Development Assistance Committee:DAC)による定義)とされています。
• 政府または政府機関によって供与されるものであること
• 開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としていること
• 資金協力については、その供与条件のグラント・エレメント(※)が国・機関別の設定基準を満たしていること
※グラント・エレメントとは借款条件の緩やかさを示す指数。金利が低く、融資期間が長いほど、グラント・エレメントは高くなり、借入人(開発途上国)にとって有利であることを示します。贈与の場合のグラント・エレメントは100%となります。グラント・エレメントの設定基準は2017年以前はすべての国・機関共通で25%以上、2018年以降は低所得国(LDCs及びその他LICs)45%以上、低中所得国15%以上、高所得国10%以上、マルチ機関10%以上とされています。
ODAは、その形態から、二国間援助、国際機関への出資・拠出(多国間援助)に分けられ、JICAはこのうち二国間援助の形態である技術協力、有償資金協力、無償資金協力を担っています。」
ODAとJICA | 国際協力・ODAについて - JODAとJICA | 国際協力・ODAについて
要は
• 開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としている
ことでしょう。
更に言えばODAプロジェクトで最も大事な点は、今流行りな言葉「持続性、Sustainable」だと思うのですが、この趣旨に反し、無償・有償に関わらず、この目的が計画の段階から抜け落ち、結局負の遺産となり、その結果として相手国及び我が国国民の税金を無駄使いしている例を身を持っていくつも知っています。
そうした例は以前から提起してきた共通した問題点を無視してきた、或いはいまだに無視し続けている結果であり、次回以降に問題点と原因、改善すべき点を改めて世に問うべく詳述したいと思います。
それをPractical Engineerとして生涯を通してきた老技術者の遺言代わりにして、相手国も我が国国民も税金の使い道として納得できる、また中国や韓国に差をつけられる質の良い、お互いにhappyでsustainable なODAプロジェクトを常に目指して頂けたらと願うばかりです。
本当に有難うございます。励みになります。元々書くことは好きなのですが、一旦書き出すと長くなります。こんな時、絵心があればと思います。