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飯坂温泉旅行記1

なぜ「三流」なのかを理解できた


I'llです。
ここ数日、アドレナリンが出すぎて慎重さに欠けていました。自分の絵や漫画がどうすれば良くなるのかの道筋が、はっきり見えるようになってきたのです。その点、自分がなまじ「できる」と思い込んでいた部分に落とし穴があり、それを疑い勘違いを見抜くことで、劇的に改善できることに気づきました。そのためには、プロの作家さんの優れた部分を見て、「自分はこれくらいできる」と思い上がるのをやめ、素直に良いと感じ、そこから何を吸収し、どう応用できるかを考えることが大切です。
私の作品の悪いところは、「クセも個性」だと思っていた部分に全てが出てしまっています。コレも噛んでみれば味わいがある、と自分のエゴを生のまま調理せず、「自分の良さはわかる人に伝わるはずだ」とテーブルに出すことで、読者や見る人との間で、評価のギャップが生まれる原因になっていました。
あらゆるエンタメは説得することを肝に考えなければ、作者のエゴを表明するだけに終わってしまいます。そこには、明らかな思想と確かな技術によって、ナラティブを粛々と説明するプロセスがなくてはなりません。その説得力こそが作品のパワーなのだと気づいた日から、私の作品の悪いところがはっきり見えてきたのです。

この数日は、今まで以上の集中力で絵を描いていましたが、このままやり続けたら本当に身体が壊れてしまうな、と感じていました。アドレナリンのせいで身体が日に日に楽になっていく錯覚を覚え、この興奮が切れたら倒れかねない、と薄っすら思ってしまうほどでした。

慰安のため、飯坂温泉へ

福島駅前、気温21度

というわけで、飯坂温泉に行こうと思います。心身を癒すための、二泊三日の旅です。
福島駅から飯坂線に乗る前に、AXSビル地下にある「麺屋くさび」で腹ごしらえをすることにしました。

豚骨醤油ラーメンの餃子セット、辛ねぎのせ

豚骨醤油にうるさい私が、ほんのり甘みがあり奥深いスープ、麺はしっかりしていながらスープとよく絡み、辛ねぎと合わせると更に絶品でした。餃子は小ぶりながら旨みが溢れ満足度が高い一品でした。スープを飲み干したかったのですが、思ったよりボリュームがあり、かなり満腹になりました。自然と唸ってしまうような、美味しいお店が商店街の中にある福島市は、グルメの水準が高くて驚いてしまいます。

福島駅周辺を歩いて歩いていると、この街への愛着というか、言い表せない愛しさのようなものを感じます。仙台とは似ているところもあり、それでも独特のレトロさとか、街中からすぐ山が見えるところとか、そういう素朴さがとても素敵な街だと思います。福島が好きなのは、そういうところです。

飯坂温泉駅前

飯坂温泉に来るのは、去年の10月以来です。あの頃はかなり悩みが深い時期で、温泉に浸かりながら悩みの根源を悟り、気持ちが救われたのを覚えています。
旅館に着くまでに足湯などしながら、ぶらぶらと歩きました。飯坂温泉は、一時期に比べると半分以上の旅館が閉鎖したらしく、廃旅館をリユースしたデイサービス施設などに変わったりもしています。バブル崩壊、コロナ禍と経済的な打撃を経験したこの温泉町は、右肩上がりの経済成長に頼った国のあり方を考えさせられます。どうにかして、こういう文化的価値の高い名所を存続させて欲しいと思います。

温泉に浸かりながら考えたこと

温泉に浸かっている私は、「Ghost of Tsushima」の境井仁のように考え事をしていました。私の本質がいかにゴミであり、しかしゴミであることを卑下せず、どうすればもっと価値のあるゴミになれるのか、と考えていました。その考えに認知の歪みはなく、謙遜しすぎず傲慢にもならない、そんな心の境地は絶妙な自制のバランスで成り立つものです。
迷いや悩み、不安な心は「最善策を実行し、天命を待つ」ことだけが、ネガティブな感情を煽らないただ一つのやり方だと思います。だからこそ、下手な小細工や邪道はほぼ無意味です。そう考えるようになってからは、私には恐ろしいほど悩みがありません。結論はシンプルです。やるべきことをやり、あとは休めばよいのです。
ですから、この二日間は思いっきり英気を養いたいと思います。

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