術前日記 2020.01.22 23時

いよいよ明日、喉のポリープを切除する。
入院先の部屋は、高価なホテルのような作り。
一人の部屋にしては妙に広くて、荘厳な雰囲気がある。

思えば、昨年末、喉のポリープを発表してから、嵐のように時間が過ぎていった。
年末フェス、大阪ワンマン、東京ワンマン。
色んな人に会って、会話をし、精一杯歌って、曲を作った。

その間、メンバーともかなり濃い時間を過ごした。
昨夜も、メンバーと飲みながら未来の話をしていた。
歌えるようになったら、ああしよう、こうしようって話を、ハイボール片手にした。

まもなく、歌えなくなるから、喋れなくなるからと、
色んなことを足早に考え、形にした。
早く聴かせたい曲ができたり、話してるだけでワクワクするこれから先の物語がある。

声が出せる内に、決めきれなかったことも沢山ある。
正直まだ、迷いの中にあることもある。
でも、復帰後の未来は明るい。これだけは胸張って言える。

大阪と東京でのワンマンライブ。
あの場にあった歓声や、名残惜しさの結晶が、そのまま俺たちの歩んできた6年間だと思う。
ベスト盤みたいなセットリストをやり抜き、LIQUIDROOMダブルアンコール。いつまでもステージを降りたくなかった。

熱狂をいくつも越えて、すごい速さで今日にたどり着いた。
気づいたら2020年、25歳。
病室は面白いほどに穏やかだ。
誰が書いたかも分からない、何の思い入れもない絵画が、大事そうに飾られている。

あとは、切るだけ、と腹は決まり、ゆったりとした時間の中にドンと腰掛けながら、
でも何だか、少しだけ、名残惜しくて、
小さい声で鼻歌を歌ったりしています。

2020.01.22 23時

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