『On the Road』という曲についての幾つかの文章

パノラマパナマタウンの新曲『On the Road』のビデオをYouTubeにアップした。

本当は4月5日の野音で、「パナフェス」で初披露するはずだった新曲。ライブができなくても、何とか皆に届けたいと思って、リモートでレコーディングをし、慣れない動画編集で、自作のビデオを作った。

6年間のバンドの記録が凝縮された映像。過去と現在が交錯する映像にしたいと思い、『ゴッドファーザー PART II』の演出を参考にして作った。自分たちの『MOMO』だったり、『SHINKAICHI』だったり、過去の曲のMVをオマージュした編集になってます。他にも色んな仕掛けを散りばめてるので、是非何回も観て欲しい。


この『On the Road』という曲。最初に作ったのは、ポリープ手術の2日前だ。声が出なくなる直前に、大袈裟に言うと遺書を作るような気持ちで作って、歌を入れた。ここからしばらく声が出せなくなるなら、最後に新曲を残しておこうと。

作ってすぐバンドのLINEに送り、次の日にはサポートドラムの大見という男と、4人でスタジオに入り合わせた。手術直前、もう飲めなくなるからと思い、メンバー3人と大学の頃からの友人である大見と一緒に居酒屋に行っていたんだけど、話が盛り上がり、そのままスタジオへ。ベロベロのまま音を合わせたのがこの曲だった。

手術が無事に終わり、歌えるようになり、初めてスタジオで作り始めた新曲もこの曲だった。居酒屋の後のスタジオの感触がとても良かったので、そのままサポートには大見に入ってもらい、何度も『On the Road』を演奏した。イントロが生まれ、浪越のギターリフがつき、展開が固まっていく中で、いつしかバンドにとって凄く大事な曲になっていた。

この頃は、野音に向けて一直線で、演奏しながら何度も野音のステージを思い浮かべた。一面の夜空の中、この曲を演奏したら気持ちいいだろうな。そんなことを思っていた2月3月。セットリストでは最後の曲にする予定だった。でも、結局野音のステージには立てなかった。

4月5日、中止になった「パナフェス」をインターネット上で行う、「パナフェス2020 バーチャル 」をやってから丸々1ヶ月。この曲を、何とか届ける術がないか考えていた。当初、喉の手術や、夢希の脱退や、色んなことを乗り越えて披露するはずだったこの曲は、またしても現れた巨大な壁によって演奏できなくなって、でも、だからこそ今「迷いながら 走ってこうぜ」って歌う曲を届けたいと思った。

この気持ちに、レーベルスタッフもマネージャーも乗っかってくれて、リモートレコーディングを提案してくれた。この状況下で、家から出ずともレコーディングができる方法だ。最初は少なからず不安な気持ちもあったけど、遠隔でミックスをやってくれるエンジニアや、ボーカルディレクションしてくれたプロデューサー。色んな人の力が合わさって、満足いく音源が完成した。全くすげえ時代を生きていると思う。とても感謝だ。

YouTubeに投稿した『On the Road』って曲は、簡単にいうとこんな道のりを歩んできた曲だ。

家に篭ってるとよく昔のことを思い返す。ノスタルジーに溺れそうになる。気付けば6年間バンドをやっていた。人生の4分の1だ。ここまでの映像を掘り返しビデオを作って、もはや覚えてない過去も沢山あった。
今も懐かしくなる未来が来る。必ずやって来る。道はまだまだ続いていく。

まずは、この曲をライブで演奏できる日が来るまで。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?