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カーリング界で一番かっこよかったThomas Ulsrud選手

5月25日、世界のカーリング選手・ファンを突然、悲しみが襲いました。

ノルウェーのカーリング・レジェンド、Thomas Ulsrud選手の訃報。
50歳という若さで、失ってしまうにはあまりにも惜しい唯一無二の存在。

新規のカーリングファンの方(欲を言えばカーリングに自体にはあまり興味が無い方にも)、一人でも多くの方にThomas選手のかっこよさを伝えたく。そして、もちろんThomas選手を良く知る方々とも思い出を共有したく、Thomas Ulsrudファンとして、僭越ながら少しだけnoteを書かせていただきます。

Thomas Ulsrud選手の実績

Thomas選手は主にスキップとしてノルウェー代表を長年の間、牽引。1998年から2016年にかけて、12回の世界選手権の出場。17回のヨーロッパ選手権出場、さらには3回のオリンピック出場を果たしています。

2006、2008、2009年は世界選手権で銅メダルを獲得し、その当時、David Murdoch選手率いるスコットランドと並んでヨーロッパを代表する強豪チームでした。

テイクアウトショット、ドローショットどちらもそつなくこなし、基本に忠実でミスの少ないプレースタイル。しっかり勝ち星を積み上げるタイプのチームでした。

2010バンクーバーオリンピックの衝撃

そして迎えた2010年のバンクーバーオリンピック。なんとThomas選手率いるノルウェーは、当時誰も考えもしなかったスタイルで氷上に現れます。

ゴルフのJohn Daly選手の愛用ブランドで、知る人ぞ知るLoudmouth Golfの特製パンツで大会に現れたのです。
当時(今も)カーリングと言えば黒のスラックス。多少ジャケットにはカッコいいデザインが入ることはあるのですが、パンツに柄を入れる発想は、この当時、誰も持っておらず、まさに革命的な出来事でした。

肝心のプレーも、オリンピック前の数年間で積み上げてきた実力を十分に発揮。決勝で、当時無敵の強さを誇ったKevin Martin選手率いるカナダには敗れたものの、銀メダルという堂々たる結果を残します。

ハリウッドスター並の甘いマスク、世界トップクラスのアスリートとしてのパフォーマンス、紳士的な態度、ダンディーな声でのラインコール、渋い作戦、そして革新的な出で立ちながら奇をてらった感じが無く、さも当然のように派手パンツを着こなす。かっこよさが三拍子も四拍子も揃った、いわば「かっこよさのかたまり」のようなThomas Ulsrud選手。

みんな大好きでした。

バンクーバーオリンピック、ノルウェーカーリングチームにフォーカスしたハイライト映像がYouTubeに残っていました。
これだけは、是非見てください。
(↓の画像をクリックするとYouTubeのページが開きます)


記録にも記憶にも残る

2014年の世界選手権で、とうとう優勝を飾ります。同年のソチオリンピックでの結果が満足いくものではなかったため、シーズンとしてはやや目指していたものとは違ったかもしれませんが、世界チャンピオンになるに相応しいチームがようやくという雰囲気でした。

もしかするとそれよりも人々の記憶に残っているのは、2015年の世界選手権の決勝、ほぼ逆転の目が無くなってしまった際に見せたユーモアかもしれません。

なんとストーンを縦にして転がすという、これまた誰もが考えもしなかったことをやってのけます(そしてこの後、ストーンはハウスの中心で止まります)。
(ちなみに反則、氷を傷めるので真似しないでくださいね(Thomas選手は、この会場のアイスはこの後にすぐ解体予定と知っていてやっています))

2018年の平昌オリンピックの初戦では、バレンタインデーということもあってハート柄のパンツで登場してファンを沸かせました。ちょうど日本代表として出場していたSC軽井沢クラブとの対戦だったので、覚えている方も多いかも知れません。


こうして並べて書いてみると、今日の悲しいニュースが嘘だったかのような錯覚すらしてきます。
カーリング選手、ファンの記憶の中に絶対残る選手。みんな忘れたりしないって分かっている、心の中で生き続けるって知っているから、前を向いて歩ける。そんな気はしています。


派手パンに魅せられて

私のチームのことを少し。
ちょうどバンクーバーオリンピックが終わった辺りから、自分たちのチーム(東京I.C.E.)は関東代表の大本命と目されながらも結果が出せない時期が続きました(関東選手権を突破できない苦しい時期)。
チームメイトの神田が突然、ノルウェーチーム愛用のLoudmouthの派手パンを購入。意外と動きやすい、ということで2本ずつ全員分購入。
早速公式戦で試したところ、ゲン担ぎの効果があるのか、吹っ切れたように勝てるようになりました。

2011年12月の東京都予選での派手パンデビュー

「いつか本家(Thomas Ulsrud)と派手パン対決したいなぁ」などと思っており、結局その機会は最後まで訪れなかったのですが、2013年にカナダのビクトリアで行われた大会で、とうとう「同じ大会に出場する」という夢は叶い、記念に写真を撮ってもらいました。
めちゃ、派手パン、アピールしました。「Nice Pants」って言い合いました。

プレーは真剣に、でも心には余裕を持っていたい。観る人にも楽しんで欲しい。そんな願いをこめて派手パンを履き続けています。

Thomasほど偉大になれるわけではないけれど、彼の残してくれたもの、少しでも未来につないでいきたいとあらためて思います。

Mr. Thomas Ulsrud, thank you and may you rest in peace.


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