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【ものづくり・小規模持続化・事業再構築など】補助金申請攻略法(中小企業向け補助金共通)

【こんな方にオススメ】

この記事は、補助金申請書を自分で書こうとされている事業者さん、商工会・商工会議所でお手伝いをされている職員さん、良心的な価格設定で支援する専門家の方の支援レベル向上につながれば嬉しいという思いで書いています。

私は地域資源を活用した新規事業を支援する公的補助金のコーディネーターを9年間、制度終了まで勤めました。

そこでは、補助金制度の説明・採択される申請書の書き方セミナー、申請の相談、事業計画書の添削、審査の立ち会い、採択後のフォロー、実績報告書の確認・添削、領収書・請求書等証拠書類の検査まで一通りの経験をさせていただきました。

補助金制度の説明と採択される申請書の書き方については9年間、毎年加筆・更新を繰り返し、よりわかりやすく、要点を理解いただくよう工夫を重ねてきました。

現在も亀岡元気企業支援助成金という亀岡市のものづくり企業を支援する制度に関わっています。

この経験から派生して、ものづくり・商業・サービス補助金(以降、ものづくり補助金)や、小規模事業者持続化補助金(以降、持続化補助金)などの公募時の補助金申請攻略セミナーや、申請相談、事業計画書の添削、事業計画書の作成支援をしています。

ものづくり補助金は、製造業の機械導入、サービス業のシステム開発で事業計画作成支援を行い、採択実績があります。

一方で、過去にはビジネスプランコンテストの審査員をした経験もあり、審査する側の視点も持っています。※現在は補助金の審査員はしておりません。

このような経験から、今回は中小企業向け補助金申請書の書き方、申請する上で注意するポイントなどをお伝えしたいと思います。

事業再構築補助金

2021年に公募がはじまった事業再構築補助金も事業計画の骨子を考える部分は本記事を十分活用できます。事業再構築補助金で求められる内容は、ものづくり補助金に非常に近いです。事業再構築の5つの指針へ当てはめる部分だけが特殊な印象でした。第1回〆切分を支援させていただいた感想です。

【大前提】補助金の主旨を理解する

国、経済産業省、中小企業庁には補助金で事業を支援する目的があります。

・令和2年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>

新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響を乗り越えるために、具体的な対 策(サプライチェーンの毀損への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク 環境の整備)に取り組む小規模事業者等が経営計画を作 成し、その計画に沿って地道な販路開拓等に取り組む費用の2/3または3/4を 補助します。

・令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数 年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイ ス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作 品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。

・事業再構築補助金

ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。
コロナの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等を対象とします。申請後、審査委員が審査の上、予算の範囲内で採択します。

このように、補助金にはその制度がつくられた目的があります。これを理解し、それに当てはまることが大前提であることを忘れないでください。

補助金を活用すると良いケース

1.補助金があってもなくても実施する事業
  →最も望ましいパターン
2.新たな取り組みをしたいが自己負担が重い
  →補助金で自己負担を軽減
3.新たな取り組みをしたいが資金が手元にない
  →補助金採択により、融資が下りることも
4.新たな取り組みをしたいがリスクが高過ぎ躊躇
  →金銭的リスクを大幅低減
5.新製品開発費をのせると価格競争力が…
  →補助金で開発費負担を減らし製品価格低減に

私は、いつも「1」であってほしいと思っています。もともとしようと思っていた新規事業・設備投資があった。それがたまたま補助金公募と重なり、費用の一部が補助してもらえる。これが理想的な活用パターンです。

逆に「補助金がもらえるし何かしよう、機械買おう」この発想は注意が必要です。まず、これまでの事業の流れで検討して練られたものではありません。なので、事業計画書の深み、説得力が欠ける内容になります。

また、思いつきで買おうと思った機械は、あとになって「やっぱり不要だ」とか「こっちの機械の方がいい」となることも多いです。つまり、審査に挑む上でも不利ですし、採択されても無駄な設備投資や、変更申請の承認に苦労する、結局買わずに終了となる可能性が高いです。

前々から取り組んでいた新規事業(試作開発や準備)が7〜8割くらいまで進捗していて、「どうしてもこの投資が必要だ」というパターンが望ましいです。

割合は感覚ですが、意外と重要だと思っています。9割以上だと、「もうできあがって販売しているものは補助対象にならない」と判断されやすいですし、5割以下だと「構想段階で具体性に乏しい」と見られがちです。

補助金申請前に注意すべき3つのこと

まずこれが大変重要です。

入り口で失敗してしまうと、せっかく採択されたのに補助金をもらわないまま終了となってしまうこともあります。そんな苦い経験をされている事例も多くみてきました

1.買おうと思っているものが補助対象経費か?

補助金の制度によりますが、例えばパソコンやタブレットの本体代金は補助対象経費になりません。

汎用性のあるもの、補助事業以外の何にでも活用できると思われるものは補助対象経費としてみなされないケースが多いです。

ものづくり補助金は機械装置の購入が主な内容となります。

持続化補助金は機械装置、パンフレット・ポスター・チラシ・看板、ホームページ、ネットショップ、展示会出展、デザイン料、店舗改装などが対象です。

公募要領に補助対象経費となるもの、ならないものが書いてあります。補助金申請のホームページにQ&Aで書かれている場合もあります。購入しようとしているものが、そもそも補助対象経費なのかどうか、必ず確認してください。※公募回毎に補助対象経費は変わる場合があります。

やってはいけないのは、「これが補助対象経費なんやから、これも対象やろう」と申請する側で勝手に拡大解釈することです。内容によりますが、これは認められないケースが多いです。

補助対象経費かどうかグレーだと思ったら必ず事前に事務局に確認しておきましょう。

2.補助事業の実施期間が合っているか?

補助金には補助事業を実施する期間が決まっています。実施期間とは、その期間内で取引を開始(見積書の日付など)し、支払を完了しなければならない期間です。

支払完了とは、請求書を受け取り、その代金を銀行振込等で支払うことです。これが実施期間からはみ出していると、補助金を受け取れなくなります。

例えば、7月から11月が実施期間だとしましょう。

1つがフライング。6月に購入して代金を支払ったものはアウトです。もう1つがタイムオーバー。代金支払が12月だったらアウトです。

代金の支払い方法は銀行振込のみなど、指定されている場合も多いのが注意です。手形だったり、クレジットカード、現金だと認められない場合もあります。公募要領を要チェックです。

実施期間について考えるべきは(補助金がなくても)もともとの購入予定の時期と合っているのかどうかです。購入予定だった時期より実施期間が遅い場合も、早い場合もあると思います。

特にものづくり補助金でオーダーメイドの機械を買う場合、海外で製造した機械を輸入する場合、ITシステムを導入する場合など、取引開始から受取〜支払いまでの期間が長いものは注意が必要です。

採択されるかわからない補助金の実施期間のために当初のスケジュールを修正して良いのかどうか、慎重な判断が必要です。

3.補助金は後払い〜資金ぐりにご注意〜

補助金は後払いです。先程の例でいうと、実施期間の11月が終わり、それから実績報告書を書き、請求書・領収書などを揃えます。それをもとに適正に補助対象経費が執行されているかの検査が行われます。検査をして問題がなければ補助金が指定口座に振り込まれます。おおよそ実施期間終了月の1〜2ヶ月後の振込となります。このケースでは、最も早くて7月に支払い、補助金を受け取るのは翌年1月です。

ここで注意が必要なのが資金ぐりです。補助金を受けとるまでは、全額自社で立て替えて払っておく必要があります。

貴社に潤沢に資金があれば問題ありませんが、手元の現預金に不安がある場合は銀行借入れを含む資金ぐり対策が必要です。

幸い、補助金に採択されてから受け取るまでのつなぎ資金は理解のある地銀や信金であれば貸してくれるケースが多いです。申請前に資金ぐり計画を立てておきましょう。

【まとめ】

1.買おうと思っているものが補助対象経費か?

2.補助事業の実施期間が合っているか?

3.補助金は後払い〜資金ぐりにご注意〜

補助金申請に挑戦するかどうか、まずこの3点をよく確認してください。3つとも問題がなければ申請書作成の準備に入ります。

GビズIDプライムを取得しておく

2020年度公募より、ものづくり補助金はgBIZIDプライムを取得しておくことが必須となっております。すぐに取得できるgBIZIDエントリーでは応募できない点にくれぐれもご注意ください。gBIDプライムまで必ず取得しておいてください。gBIZIDプライム取得には2週間ほどかかると言われています。申請する可能性がゼロではないなら、必ず応募しておきましょう。

gBIZIDのホームページへ

これ以降は有料となります。補助金共通の基本的な採択されやすい申請書の書き方をご紹介します。必要知識を学んだ上で、自力か他力か実際にどのように申請書を作成するかその選択肢とメリット・デメリットの考え方をお伝えします。

※岩橋の個人的な見解で、最新の見解・補助金制度とは内容が異なる場合がある点はあらかじめご了承ください。

本noteを見られた方の声・推薦文

※現在、無料キャンペーンは行っておりません。


本note執筆にあたって

私が主催するオンラインバーゆうてんかのメンバーには事前にレビューをしていただき、加筆・修正するヒントをいただきました。

商工会の方、創業したての方からの指摘でさらに内容が濃いものとなったことをここに御礼申し上げます。

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