見出し画像

【独立リーグ】琉球ブルーオーシャンズ 初の県外試合を勝利で飾る 〜4月9日 vs.火の国サラマンダーズ〜

こんばんは、岩国です。
まだ見ぬ大陸を目指して出航した帆船を追って、熊本にやってきました。(写真は熊本城城主・加藤清正公です)

その帆船は昨年、コロナという予想を遥かに超えた大嵐に見舞われ、マストが折れそうになりながらも、なんとか帆をおろすことなく、今年も航海を続けていくことになりました。

ただ、目指す大陸を一直線に目指すのではなく、様々な島々をめぐり、乗員たちの体力、技術、そして精神力の強化育成しながら、船全体の能力を上げていこうとしています。

高い理想を持つことは良いことだと思います。誰もがみな、子供の時には「パイロット」や「宇宙飛行士」など、大きな夢を目を輝かせて語っていたのだから。

ただ、目指すゴールがあまりにも遠いと、そこまでたどり着くまで、たいていの場合、体か心が持たないもの。短期目標をおきながら、大きな目標へ向け、着実に船を進めていけばいいと思います。

画像1

さて、前置きが長くなりましたが、その目標設定すら置くことが難しかった環境を乗り越え、ようやく県外への遠征を行うこととなった琉球ブルーオーシャンズ。県外チームとの公式試合は、昨年2月29日の巨人3軍戦(@那覇セルラースタジアム)以来、1年2ケ月ぶり。その前のロッテ2軍2連戦(@石垣島)を含めても、今回の火の国サラマンダーズ戦で4戦目となります。

NPBチームとの試合は、目指すべき目標と自分たちとの差を感じる試合でしたが、今回は同じ立場のチームとの対戦。清水監督も最低勝ち越しを目標に、勝つことを重要視して、この九州12試合を戦うとしています。

勝ち越しのために、初戦をとっていいスタートを切りたいブルーオーシャンズ。その初戦はどうなったのでしょうか。

今回は記録用として、つれづれと。

画像2

1回表、琉球ブルーオーシャンズの攻撃。
1番は松尾大河。登録名は「大河」。追い込まれてから、際どいコースを取られて見逃し三振。
きょうは試合全体で、際どいコースをストライクとされているような印象でした(横からなのでわかりづらい)ので、やりにくかったかもしれません。
2番・亀澤、3番・矢野も打ち取られ、火の国先発・猿渡投手の前に、三者凡退となります。

その裏。琉球先発は福地。今年入団した元DeNAの左腕。リリーフのイメージがあったのですが、練習試合から先発起用が続いているので、今年のチームでは先発でやっていくということなのでしょう。今度、聞いてみます。

その福地投手も、1回を3人でピシャリ。良いリズムで2回表を迎えます。

先頭は4番・大城。今年、チームのキャプテンに任命されました。

ライト方向にある山(名前がわからない)にゆっくり日が沈みゆく中、8球粘ってフォアボール。ベンチから出塁を喜ぶ声が飛びます。

沖縄での試合は、スタンドからの取材でしたので、あまりわからなかったのですが、今回はベンチ横のカメラ席にいたので、とにかく声がよく聞こえました。ただ、比屋根選手や亀澤選手など、NPBのベテラン組が目立っていたので、トライアウト組にも頑張って欲しいと、序盤は思っていました。(後半は変化が現れました)

続くバッター、5番・宮城清主("きよかず"と読みます)。あの富士大学出身で現在、西武に在籍する佐藤龍世のひとつ下の世代。昨年2月の巨人3軍戦で結果を残すと、シーズン中盤以降はチームの中軸を打つバッターとして、起用されています。

遠征前までの沖縄県下での練習試合では、打率4割を超えているとチーム関係者(神◯さん)が教えてくれましたが、この打席で、それをしっかり証明して見せました。

画像3

おそらく変化球だと思うのですが、軸足(右足)にしっかり体重を乗せて始動し、スムーズな体重移動とバットスイングで、タイミングもドンピシャリ。バックスクリーン左まで届いたホームランに、ベンチも大興奮。

初球を捉えての一打は、清水監督が昨年から言い続けてきた「準備の大切さ」を体現しての結果だったと言えるのではないでしょうか。

2点をもらった福地。3回に相手の初ヒットから1点を失う。この回は、2アウト目を取ったセカンド・亀澤選手の守備が素晴らしかった。

1アウト2・3塁で、1点OKの守備体型だった(ように見えた)が、打球が少し弱めで二遊間へ。それを素早く前に出て、逆シングルで捕球。ホームは間に合わないと瞬時に判断して一塁へスナップを効かせての送球していた。当たり前と言えばそれまでだが、一瞬ホームを見てからのプレーだったので、改めて凄みを感じた瞬間でした。

その後は投手戦でしたが迎えた6回裏。少し疲れの見え始めた福地は、1アウトから火の国3番・深草に、この日2安打目となる2ベースヒットを打たれ、ピンチを招きます。

そして5番・吉村裕基。去年は琉球に所属も、キャンプで痛めた足(確か右膝だったと記憶しています)の影響で、なかなか難しいシーズンを送っていたスラッガー。NPB経験のある両名、力量を察してか3ボールとボール先行と苦しいカウントに。

そこで、ひと呼吸間をとった福地。ファールを打たせてフルカウントまで戻すと、最後は低めの変化球で空振り三振。6番・安井もセンターフライに抑え、見事にピンチを切り抜けます。捕球を見届けた瞬間、激しくグラブを叩いて、感情を出していました。いいですね、勝負している感じがすごくしました。

監督は「ここで変えても良かったけど」と、試合後話していましたが、選択は7回続投。後ろの投手に不安があるのかもしれません。

その7回。1アウトから7番・河添のセンターオーバー3ベースヒットを打たれ、またもピンチ。しかし8番・高橋を3球三振。9番・松本はセーフティスクイズを試み投手の正面へ。相手のミスでことなきを得て、福地は7回5安打1失点。大事な初戦でしっかり試合を作りました。

画像4

試合が進むに連れて、ベンチから聞こえてくる声も変わっていきました。

最初は比屋根さんだけしか声が聞こえませんでしたが、出場のなかった加藤選手や西江選手の声も聞こえるようになってきました。

こういう試合で出番がもらえないというのは悔しいと思いますが、ベンチも戦力。声を出して、チームと共に戦う姿勢を見せることも大事なこと。

きょうはDHだった比屋根さんは、打席以外では打者を鼓舞し続け、守備に向かう野手、特に今日は結果が出なかった大河選手などには、特に積極的に声をかけ、投げる投手の1球1球に、最後まで声をかけ続けていました。

こうした姿勢が浸透し、チーム全体で自然に声が出るようになってくれば、もっといいチームになっていくだろうと思います。

スクリーンショット 2021-04-10 2.27.32

最後に。ルーキーの中島友輝が8番・一塁でスタメン抜擢。第2打席でレフト前へのポテンヒットで"公式戦"(琉球的に)初ヒット。「これで気持ちが楽になった」と、第3打席にはセンター前ヒットを放ち、チーム唯一のマルチヒットと起用に応えました。

今年3月に高校を卒業したばかり。両親の理解もあり、単身で沖縄に乗り込んだ青年は、話を聞けばまだあどけなさもあり、チームメートからも「ナカシ」と可愛がられています。

清水監督も入団当初から「スケールの大きさを感じている」と話している選手。私が幼年期から30代半ばまで川崎市民だったこともあり、川崎出身の彼が、このあとも怪我なく成長していくこと、本当に願っております。

スクリーンショット 2021-04-10 2.40.54

チームにとって、大きな1勝。ただ、連戦はまだ始まったばかり。

きょう味わったこの1勝をきっかけに、2連戦以上の経験がない彼らが、この遠征でこれから経験する多くのことを、今後の成長につなげていくことを願いながら、今回は終了とさせていただいます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?