いわきりなおとのトーハク見聞録 重文「不動明王立像」
◎怒って導くお不動さん 重文「不動明王立像」
東京国立博物館(トーハク)が所蔵する重要文化財「不動明王立像」(平安時代・11世紀)は、目を見開いて唇をかみ、歯をむき出しにした怒りの表情です。
なぜ怒っているのでしょうか? それは仏様が人々を優しく教え導くのに対し、教えを聞かない者や欲を捨てられない者を、激しい怒りで導くためです。
日本における不動明王信仰は、平安時代初期に空海が中国から持ち帰った密教とともに広まりました。空海は中国で学んだ知識や持ち帰った図像を元