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いわきりなおとの国宝漫遊記&トーハク見聞録

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共同通信加盟新聞にて連載中の「いわきりなおとの国宝漫遊記」「トーハク見聞録」の過去記事置き場です。掲載新聞は、秋田魁新報、新潟日報、静岡新報、上毛新聞、神戸新聞、中國新聞、山陰中…
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#おしえて北斎

いわきりなおとのトーハク見聞録 重文「不動明王立像」

◎怒って導くお不動さん 重文「不動明王立像」  東京国立博物館(トーハク)が所蔵する重要文化財「不動明王立像」(平安時代・11世紀)は、目を見開いて唇をかみ、歯をむき出しにした怒りの表情です。  なぜ怒っているのでしょうか? それは仏様が人々を優しく教え導くのに対し、教えを聞かない者や欲を捨てられない者を、激しい怒りで導くためです。  日本における不動明王信仰は、平安時代初期に空海が中国から持ち帰った密教とともに広まりました。空海は中国で学んだ知識や持ち帰った図像を元

いわきりなおとの国宝漫遊記 第5回「国宝火焔型土器」の巻

◎縄文は日本の真の美  火焔型土器  新潟・十日町市博物館蔵 火焔型土器  漫画家いわきりなおとさんが、新潟県の笹山遺跡から出土した国宝・火焔型土器(十日町市博物館所蔵)を紹介します。    ×   ×  縄文時代中期(約4500年前)に作られた火焔型土器は、燃え上がる炎に形が似ていたことから、この名称が生まれました。 東日本の200以上の遺跡で出土していますが、大半は新潟県内に集中しています。  器に焦げがあることから、日々の暮らしの中で食べ物の煮炊きに使っていたことが分

いわきりなおとの国宝漫遊記 第4回「姫路城」の巻

世界も認める美しい白 姫路城天守  兵庫県姫路市 漫画家いわきりなおとさんが、世界文化遺産でもある兵庫県姫路市の国宝・姫路城天守を紹介します。    ×   ×     姫路城は2015年に「平成の大修理」を終えたばかり。白しっくいの美しさを取り戻し、「白鷺城(しらさぎじょう)」の名にふさわしく白く輝いています。 あまりの白さに、修理前の姿を見慣れた人たちの間で「白くしすぎ」「これでは白すぎ城だ」と言う声もありましたが、昔の白さに戻っただけなのです。  姫路城の白さは

いわきりなおとの国宝漫遊記 第2回「志野茶わん銘卯花墻(うのはながき)」の巻

◉手のひらの中の宇宙   漫画家いわきりなおとさんが、東京国立博物館で6月4日まで開催中の特別展「茶の湯」で展示している、国宝「志野茶わん 銘卯花墻」(三井記念美術館蔵)を紹介します。 (※「茶の湯」展はすでに終了しています) 織田信長や豊臣秀吉、明智光秀など、戦国時代から江戸時代の大名や武家の間では立派な茶わんを持ち、部屋を飾るのが最大のステータスでした。 現代のビジネスマンが高級スーツやブランド時計を身につけ、できるオトナを演出するのと同じですね 井戸茶わん、楽

いわきりなおとの国宝漫遊記 第一回「国宝風神雷神図屏風」の巻

**◎琳派はオシャレな作風「風神雷神図」京都・建仁寺所蔵**  日本各地には千件以上の国宝がある。これまでに約600件の国宝美術を鑑賞してきた漫画家のいわきりなおとさんと、国宝をめぐる旅に出よう!    ×   ×  京都市東山区の建仁寺が所蔵する国宝の「風神雷神図屏風」は、17世紀前半に絵師俵屋宗達の作品です。風神雷神図の良さはズバリ、「構図がかっこいい」ということです。  向かって左側の雷神と右側の風神が、それぞれ画面からはみ出すように描かれています。中央に