いわきりなおとのトーハク見聞録 「ナーガ上のブッダ坐像」
◎海を渡ったクメール彫刻
「ナーガ上のブッダ坐像」
東京国立博物館が所蔵する「ナーガ上のブッダ坐像」(12世紀)は、現在のカンボジアを中心にクメール王朝が栄えたアンコール時代に作られた、クメール彫刻の名品です。
上半身裸で蛇の上に座る姿、目鼻がはっきりした濃い顔、つながった眉毛は日本で見慣れた仏像と比べ、とても特徴的です。西木政統研究員によると、高温多湿の東南アジアでは、上半身裸の姿と蛇は定番のモチーフといいます。この像では二つ欠けていますが、七つの頭を持つ蛇で