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【FM店主日記Day39】ナスカの地上絵の新作が発表されました!しかも303個も。

ナスカの地上絵の新作が発見されたらしい。しかも303個も。

日本の研究チームがAIを使って見つけた、という新しい地上絵はなかなか今まで知られていたものと同じかそれ以上に味わい深い作画となっていて、もともとナスカの地上絵好きな自分としてはなかなかこれは胸熱な案件。なのだけど。

ナスカで最初の地上絵が発見されたのが1927年で、これまで百年かけて430個の地上絵が発見されてきたのだけれど、山形大学のチームがAIを駆使して肉眼では確認が難しい地上絵を続々と発見し、この半年で303個も見つけてしまったというのだから、いかもいってもそれはやりすぎで、もうちょっと後世のために残して置いてあげてもよかったんじゃないのかと思ってしまったりもする(笑)。

新たに発見された地上絵たち

僕が2012年に南米一周の旅をした時、ペルーにも結構長く滞在した。ペルー料理は南米で食べた料理の中で一番美味しかった。そして、ペルーで個人的に最も見たかったのがこのロマン溢るるナスカの地上絵で、わかわかめな地上絵の存在ももちろん魅力的だったのだけれど、ナスカは特にこれといった産業もない、こぢんまりとした乾いた町でなんだか妙に居心地が良かった。旅の移動に疲れていたのもあり、仕事が少し溜まりつつあったのもあり、ナスカでは1週間ほどダラダラと過ごした。

地上絵はいつからあるのかもわからなければ、なんの目的で作られたのかもわからない。ドイツ人の学者であるマリア・ライへさんがこれは貴重なものだから保存しなくてはならない、と必死に訴えたおかげで今も保存されているのだけれど、現地の人は特にこれらの地上絵に文化的価値があるとは思っていなかったらしい。ガラパゴスのダーウィンさんほどではないにせよ、今でもナスカの町ではマリアさんの銅像などが至る所にあり、とても感謝されている。

そもそもこの地上絵は飛行機から見えるくらいなので、随分と巧妙に作られている、か思いきや、実際は10センチとか 20センチくらい地面を掘っただけの単純なもので、このエリアはほぼほぼ雨が降らないのでたまたま地上絵が生き延びた、というあらゆるたまたまが数珠繋ぎ的につながり、たまたまマリア・ライへさんが重要性を訴え、たまたまそれを聞いた人たちがそんなにいうんだったら、まぁ保存しておくか、みたいなことになったという存在自体が奇跡のようなものなのだけど、300個も新しいものが見つかってしまったら逆に価値が下がってしまうような気がするし、百年かけて見つけたのとほぼ同じくらいを6ヶ月で見つけてしまうなんて見つけられた現地の人たちはさぞかしショックだったのでは(笑)。これは、例えるなら、ビートルズの新曲が150曲見つかりました!くらいのバグり感でしかない。そんなに見つかってしまったらビートルズのこれまでの伝説が台無しになってしまう危険性すら感じる。

この地上絵を作る時に多分当時の人たち、おそらく男ばかりの集団が集まってどんな絵を描くか、みたいな話し合いを行い、みんなである日スコップを持って出かけていって作業を行なったんだろうけど、当時のこの男たちの奥さんらはきっと「そんな暇つぶしみたいな無駄なことやるんだったら家のことをもっとやってほしい」などと現実味を帯びた言葉で男たちを罵ったんじゃないかと想像するのだけど、彼らが断固として行なったこの壮大な無駄なことが後にナスカの地を世界中に知らしめ、経済的に潤すことになったってのはほんとに愉快痛快な話だといつも思う。

ナスカの地上絵の新作たち

少なくとも(文字通り)彼らは高い視点を持っていたわけだし、一見、無駄で無意味で役立たずに見えることこそ大事だったりする。役に立つこと、とか意味のあることとかは意外と賞味期限が短い。それがナスカに滞在した1週間に僕が肌で感じ取った教訓だ。だから僕は意味のないことを重んじる。意味のないことを必死でやることこそ人生の正しい味わい方なんじゃないかと思ったりもする。ほんとに意味がないだけで終わることの方が圧倒的に多いと知りながらも。

フェルマータ店主 KAORU





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