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【FM店主日記Day22】オールドニュータウンという哀しい現実

少子高齢化の現実と誰かが描いた理想の未来が混じり合う場所。

日本各地に雨後の筍のように続々と登場したなんちゃらニュータウンは高齢者ばかりが暮らす「オールドニュータウン」へと姿を変えた。

町の生存の鍵を握るのは人口の流入数だ。新しい世帯がわんさかと移住してくるような魅力的な場所であれば町は維持できる、誰もこなければさびれるだけだ。高齢者はより高齢になっていくし、仕事がないので若者たちは町を去る。文字通りの悪循環だ。

たまたまこのドキュメンタリーでは山陽団地が取り上げられているけれど、問題は全く同じ状況にあるオールドニュータウンが日本中に山ほどある、ということだ。ウィキペディアによるとその数なんと2022地区。18.9万ヘクタールあり、これは大阪府の面積(19.0万ヘクタール)と同等、なのだそうだ。

それぞれの土地が持つ魅力の部分というのはどうにもできない部分があるけれど、そこで暮らすコミュニティをどうやって活性化していくか、いかにして地元の人たちのQOLを上げながら外から人を呼ぶか。

課題として認識されてはいるもののどのニュータウンもまだ正解に辿り着けていないし、地元の人たちが束になって考えたところでおそらく良い案は出ない。もっと外に視線を向けた人たちに入ってもらい、それぞれの土地の魅力や暮らしやすさ、そこでまかりなりにも五十年間暮らしてきた人たちが培ってきた文化をアピールしていかなくてはいけない。

こういう時に役に立つのが地元のちょっと頭のおかしい人たちだ。普段はちょっと敬遠されるような変わった趣味嗜好の人たちがどこの町にもいるはずなのだけれど、いわゆるベッドタウンとして通勤して帰って寝るだけの生活をしていたサラリーマンの人でも二度見では足りないくらいに変わった趣味を持った人もいるはずだ。

変わった人たちはあるいは迷惑な存在だとあるタイミングでは思われているかも知れないし、揶揄されたり悪口を言われたり、仲間はずれにされたりするかも知れない。しかし、有事の時に役に立つポテンシャルを秘めているのはきっとこういう人たちだ。思い出して欲しい。家電や自動車などの輸出産業が行き詰まった時に日本を再び輝かせたのはオタク文化だったことを。

壮大なるコピペのようなオールドニュータウンにもきっと何かしらの変なものがそれぞれの地にあるはずだ。それがなんなのかをブレストするところから始めるべきな気がするし、いわゆる変わった人たちをそういう場に呼んで意見を求めることから始めてみるべきなのかも知れない。間違ってもいきなり馬鹿みたいに値段の高いコンサル会社なんかに依頼しない方がいい。大学院やビジネススクールを卒業したばかりのまともな若手にはこの問題は到底解決できないし、儲かるのはコンサル会社ばっかり、という政府が予算を組んで何かしらやろうとすると各地で起こるホラー現象の壮大なるコピペを許してはならない。

そして、オールドニュータウンで起きていることと全く同じことが近い将来タワマンにも起きることを忘れてはならない。知らんけど。

フェルマータ店主 KAORU



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