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振り返りの効果(指導医見習いにとっての)

今年度初めから、オンラインでの継続した総合診療医の振り返り指導を岩手県でやらせていただいています。これまでも「はっちぼっちステーション」などでオンラインでの指導を受ける側にも、する側にもなる経験をしてきましたが、自分が主体となって、継続して専攻医指導に当たるのは初めてのことです。

私自身が、初期研修医から専門医取得までの期間、オンラインで月一回の振り返りを受けていたこともあり「オンラインであっても継続して関わることで心理的安心の場、自己省察の場」を確保できるという実感はありました。一方で、経験の少ない自分が果たしてどんな役割を果たせるのだろうかという不安もありました。振り返りは、専攻医のための時間ということを意識して関わってきましたが、これまで継続した振り返りに参加していて思うのは、指導医自身が成長する場でもあるということです。

総合診療・家庭医療の研修初期に自分たちも感じたものと近い悩みを、専攻医が抱え、それを乗り越えたり、昇華していく様子を、振り返りの場を通じて知ることができるのは指導医側にとっても日々の診療の励みなると感じています。専攻医が感じる悩みのtrajectoryなんかも、ある程度共通したものがありそうです。(そういうことを調べた質的研究とかあるんだろうか・・・)

特に、研修の場(おそらく大病院などでは)によっては、初期にアイデンティティークライシスを起こしやすい環境になりうるので、その時に心理的安全を確保できる場があるかないかでその後の研修継続にも関わってくるように思います。今関わっているプログラムでは、2週間に一度ではありますが、日中にプロテクトタイムとして振り返りの場を設定できているので、多忙な病院業務中でも自己省察の機会を持ちやすくなっているようです。こういった時間を確保し、専攻医が学びやすい環境を設定してくれている病院側、他の現地の上級医の先生方には感謝しかありません。

一方で、僻地在住の身としては、指導医としてどうスキルアップしていけばいいのか悩む部分もあります。良い問を投げかけ、専攻医にとって意義ある時間を提供できるよう、指導側も学び続ける必要を強く感じています。まずは、可能な範囲で多様な振り返りの場に参加したり、プライマリケアに関連するトピックをアップデートしていくよう努力したいと思います。指導の場があることが、学ぶモチベーションにも直結しているようです。

生涯学習という意味では、このオンラインでの振り返り指導とほぼ同時並行で、同世代間での振り返りを行う場として「かたりすと」というグループも運営しています。こちらでは同世代での診療や悩みについて月一回の振り返りを行っており、様々な立ち位置からコメントしてもらうことができます。研修が終わると、専攻医時代のように自分のためにガッツリと大人数で振り返りの時間を取りにくくなりますが、専門医取得後も定期的な振り返りの場があることで生涯学習に繋がっていくように思います。診療実践の場と、自分自身の振り返りの場と、後輩への指導の場と診療の場以外にも、役割の多様性をこれからも継続して持っていきたいです。

個人的な感想ですが、産休・育休前後の女性にとっても振り返りの支援をするのは自分のメンタルにも良さそうに思います。そういうマッチング?ができるようになったらいいなぁ…

それにしても、制度の方でいろいろと悩ましい部分はありますが、専攻医の先生たちの成長は素晴らしいですね・・・おかげで明日も頑張れそうです。

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