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けっこうこのままでおばあさんになりたい

18歳、小劇場の舞台にはじめて立ってから
お芝居のことわけわからないなか、いまだにわかろうとしながら、樹海をさまようように光を探してときどき満たされたような気になったり、まぁ気のせいだったり、あきらめずしてるうちに今年の春も稽古場で、32歳の誕生日をむかえた。

少なくとも年間5.6本は舞台に立ってきているので
いま私を応援してくれているひとたち、いわゆるファンの方というのは主に劇場でお芝居を観に来てくれるお客さんのことだと思う。

私を原動力に劇場に足を運んでくれる方や
存在を知ってくれている人との出会いは色々で

子役時代のテレビがきっかけだったり
10代の頃モデルとしてショーやファッション誌に出ていたことだったり、写真集やDVDやトレーディングカードを出して、書店やソフマップでイベントなんかするアイドル(になりきれなくておこがましい)活動だったり、バンドのMVや映画や、CMで知ったり、Instagramを見て会いに来てくれるひともいて、けっこう様々になってきてありがたいかぎりです。ていうか、色々やってるな。


最終的に何になりたいの?

と聞かれることがある。
こないだ、久しぶりに質問された。

そういうとき特に迷わず、自然と
お芝居続けたいです!と答えている。

でも最終的っていつだろう。わしゃ100歳になっても台本読めるんじゃろうか。20年後?10年後?5年後、それとも来年?大人になって問われる将来の、最終地点はどこにあるんだろう。

芝居を続けるという状態は今も叶え続けているので、私の職業は俳優だ。役者でも女優でも呼び方はなんでもいい。人から見てどうなのかはさておき、私本体は年間通して自宅以外にはほとんど稽古場か劇場かときどきは撮影現場にいるんだから、その仕事ぶりが優れているかはわからないけど、間違いないとおもう。

とはいえ、10年以上舞台に立ち続けても
ほとんどの人には知られなかったりする。

演劇の世界は狭いけど深い。
養成所とか演劇学科とかで基礎を学んだこともなく劇団に入ったこともないし、演劇人といわれる先人達にはいつまでたってもテレビ出てたタレントさんが舞台で頑張ってるとまだまだ思われる一面もある。芸能事務所に所属しているという点では所属タレントなので間違いではないけど、かといって私はガチのタレントでもないから、タレントからしたら小劇場で舞台とかやってる人と言われるところもある。なんだかどこへ行っても居場所が定まらない感じで、根無草であることが、結構長いことコンプレックスになっていたようにおもう。

それでもまぁ根無草なりにベストでいたい。
長く続くよう、細くとも根を張ろうとコツコツ続けてみていて、気付いたら友達もできたし、自分の好きなこと、嫌いなことがわかってくるとやっぱり、たのしい。くやしい。たのしい。

そこで現場で唐突に、最終的に何になりたいの?と聞かれたときすこし困った。だってもう、わりとなってると思うから。

今やってることをより良くやりたいだけな気がしていて、これからもコツコツやるつもり。

そのためにある程度は知られることも必要なので、少しはそんなことも含まれる。
高い目標をもたなきゃだめだよとかいう話もあるとおもう。わかるんだけど、目標っていつも細かく目の前にあって、こつこつの先にステップアップめいた躍進があるはずだ。あれよ。

とはいえ非常に好奇心旺盛ですし
舞台に立つことばかりが人生じゃないから、
銀幕のスターにもオーディオガイドのナレーターにもミステリーハンターにもラジオ番組も旅番組の出演者にも猫大好きおばあさんとかにもなりたい。どうにもポップな人間なので、そういう自分の気質を活かした活動がしたいとつねづね思う。こういうのは夢っていうのかも。

舞台にあがってないところに、本当の人生があるんだった。この夏またしても出演舞台が中止になって、悔しいし残念だし肯定もするし、ひとしきり落ち込んで、今はなぜか少しホッとしている。ウイルス。見えない様々なものたちよ。家族に会えないことはもちろん、中止がどれだけつらいかは十分わかった。

舞台がおわって生活が戻ってきたときが好き。
そのために頑張るところもあるかも。

最終的に何になりたいの?
のほんとの答えとしては、安心して家に帰ってお茶のんで眠りたい。

元気におばあちゃんになっちゃいたい!

そういうことじゃないか、
お芝居はやりたいです。
これも同じくらい願ってます。

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