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マンガのなかの少女マンガ/家(9):あまおう『BLエロ漫画家と少女漫画家とホラー漫画家のただれた日常』
今回とりあげるのは、竹書房がpixivコミックで配信しているウェブ雑誌『bamB!』掲載の、あまおう『BLエロ漫画家と少女漫画家とホラー漫画家のただれた日常』。
とにかくタイトルに「少女マンガ」とか「少女マンガ家」と入っていればなんでも読むわけですが、この作品には「BLエロ漫画家」や「ホラー漫画家」まで入っているわけです。いやはや、豪勢。
内容はこれもまたタイトル通りというかシンプルというか、BLエロ漫画家と少女漫画家とホラー漫画家がたまたま知り合いになって、そのまま共同生活を営み始める。そういうお話。ポイントは三人のマンガ家がいずれも男子でそれぞれに異なるタイプのビジュアルというところ。女性読者向けのゆるめのギャグ4コマと言えるだろう。
ウェブメディアの4コマらしく、各コマはワイドで単行本にすると1ページに一本。一本一本の完結性は低く、ゆるやかにつながっているいわゆるストーリー4コマの形式だ。
本作でもそれぞれのマンガ家たちは互いを取材対象、モデル、ネタとして参考にしあうのだが、私たち(と言ってしまう)の関心からすると少女マンガ家のキャラがいまひとつ弱いのが惜しい。より正確には「少女マンガ家」としての側面の掘り下げが弱いのである。ホラーマンガ家の作画を手伝っても「キラキラ」な絵になってしまって困るといった描写はあるが、少女マンガあるあるとしてはそれほど目立つところはない。
その点、BLマンガ家とホラーマンガ家の方がそのディティールは具体的と言えそうだが、一番稼いでいるのがホラーマンガ家でブラックカードも持っていたりするのはリアリティ的にどうなのだろうか。ホラーマンガ家がそれくらい潤っていると個人的にはうれしいことだが。
もちろん、かわいらしい美少年で霊感体質、すぐに悪霊に取り憑かれてしまったりといろいろと属性豊富といえば豊富なのだが、それはホラーマンガ家やBLマンガ家にとっては格好の素材ではあっても、このキャラクターを通して少女マンガ家あるいは少女マンガをめぐるイメージを掘り起こしていくには物足りない。むしろ、庇護欲をそそるそのありさまに少女マンガのヒロインのイメージが込められているのかもしれない。
もっとも、そのおかげで「男のくせに少女マンガなんて」的な要素が(第1巻のの時点では)まったくない点が、「男性少女マンガ家」ものとしては珍しい。
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