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マンガのなかの少女マンガ/家(8):かきのたすけ『えっちマスターは欲望をおさえられない〜うぶな少女漫画家とトロける恋!?〜』

 今回はエロです。初出は竹書房が出しているウェブ媒体『恋愛天国』。公式Twitterを見ると、「『オトナ女子に癒しのひととき 胸きゅんWEBコミックマガジン』なティーンズラブ雑誌」とあるので、一応ジャンルとしてはTLということになるのでしょうが、同時に「オトナ女子」がターゲットになっていてちょっと謎めいています。近頃はTLの方がレディコミよりも通りがいいというか、古臭い印象を与えないということなのかもしれない。

 ともあれ、これはもうタイトルで大体ぜんぶ説明されているので加えて語ることはあまりない、というタイプの作品である。このわかりやさすさ、心強い。

 女子校育ちで恋愛(およびセックス)経験に乏しい新人少女マンガ家が編集者に「色気のある男性」を登場させてみたらどうかと提案され、さてどうしたものかと散策してたまたま見かけた雰囲気のあるカフェに入ってみると、その店のマスターが(もうお分かりですね?)色気あふれるイケメンで、これも賢明な読者諸君は既にお気づきかもしれませんが、主人公は「モデルになってくれませんか」といきなりのお願いをし、こうなると賢明かどうかを問わずお察しかもしれませんが、モデルになってもらった流れで「こういうことすればもっと大人の色気っていうの感じられる?」とそういうことが始まってしまうのである。

 とはいえ「うぶな少女漫画家」はクソ真面目でもあるので「こういうのは好きな人とじゃないと嫌だと思うので」とえっちマスターを気遣って最中で遠慮することに。その態度にあまりにも遊び慣れて真剣な恋愛とは無縁なえっちマスターの心はざわめく一方、俺のような汚れた男はあの娘にはふさわしくない…と、そうそうそれですよ!という心の動きを見せるのでありました。
 その後も、あえて自分みたいな悪い男に近づくなよというメッセージのために強引に「そういうこと」をしてみたりするのだけど、うぶ少女漫画家の方は、まっすぐに「ますますあなたが知りたいです」と向かってくるので段々とえっちマスターの頑なな心もほどけていって、二人は結ばれるのかと思うと、今度は少女漫画家の方が善意でモデルになってくれてるだけだもんね…本気になってはいかんいかんとなったり、担当編集者の美女がえっちマスターの中学時代からの友人だったことが明らかになってますます不要な遠慮の気持ちを発動させたりしているうちに、マンガが思うように描けなくなってしまう。それを心配してえっちマスターが少女漫画家宅を訪れ、なんやかんやあってえっちマスターの乱倫ぶりの背景にある寂しい過去なども明かされつつ、やっと気持ちを伝えあった二人が結ばれるベッドシーンがたっぷりと描かれる。
 色気はあるが誠実な関係を結ぶことのできなかった男をヒロインが更生させるという流れで、ちょっと強引なプレイもラブラブなシーンも盛り込んでいて、よくできていると思う。

 少女マンガ家描写としては、恋愛経験に乏しい純真な少女マンガ家が実体験を積んでそれを作品に反映させていくというおなじみの構図である。

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