PTCDにラジフォーカス

PTCDを造設する際には、ラジフォーカスに代表される、表面を親水ポリマー加工(親水コーティング)してあるガイドワイヤーは使用しないことが原則とされている。その理由は、PTC針の外筒にラジフォーカスを通過せると、外筒先端の鋭利部分によって親水コーティングが剥がれて胆管内や肝実質に遺残してしまう可能性があるから、とういうものである。

そこで、通常は親水コーティングのない、スプリングワイヤーを用いてPTCDを行うべきとされている。

確かに、よく拡張し、胆管穿刺部から中枢側胆管に向かって屈曲があまりない胆管の場合には、スプリングワイヤーで問題はない。

しかし、拡張がほとんどなかったり、胆管穿刺部から中枢側胆管に向かって屈曲が著明な胆管の場合には、指向性が乏しく、かつ狭窄部位の通過性に難のあるスプリングワイヤーでは後の操作に耐えうるに十分奥までガイドワイヤーを進めることができないことがままある。

不十分な深さまでしかスプリングワイヤーが入らない場合には、引き続いて挿入すべきダイレーターやカテーテルが追随しにくく、難儀することが多い。

そのような場合にラジフォーカスを使えば、多少の狭窄はもとより、胆管の屈曲が著明でもたいていはスルスルとガイドワイヤーは中枢側胆管に向かってくれる。ガイドワイヤーが十分奥まで挿入できれば、バックアップ良好なため後の操作が容易となる。一気に内瘻化できることもしばしば経験される。

また、ガイドワイヤーを進める際には外筒先端の鋭利部分との摩擦はほとんど感じられず、親水コーティングの剥離はあってもごく僅かと思われる。

従って、現在では筆者はPTCD造設時に最初に使用するガイドワイヤーはラジフォーカスを原則としている。(尚、スプリングワイヤーのみで確実にPTCD造設できると思われる場合にはスプリングワイヤーを第一選択としている)

注意点としては、ガイドワイヤー挿入時とは異なり、抜去する際には外筒先端の鋭利部分との摩擦が大きいため、親水コーティングの剥離が必発と思われることが挙げられる。したがって、ラジフォーカスを外筒先端から一旦出したならば、ラジフォーカス抜去の際には穿刺針も一緒に抜去すべきである。



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