日欧地域間イノベーション協力 欧州でのスタディーツアーが実施されました
2023年6月4日から10日にかけて、日欧地域間イノベーション協力事業に参加している日本の代表団による欧州訪問が行われ、5つの府県と欧州委員会(地域都市政策総局および駐日欧州連合代表部)から合計16名が参加しました。府県の代表団は、愛知県、京都府、大阪府、広島県、大分県の代表者で構成され、各府県の欧州地域との協力分野に対する関心に応じて複数のグループに分かれて各地域の視察を行いました。
エミリア・ロマーニャ州(イタリア)は愛知県、広島県、大阪府の視察団の受入れを行い、リュブリャナ都市域(スロベニア)は京都府と大分県の視察団を迎え入れました。その後、愛知県と広島県はオーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏(フランス)へ、京都府、大阪府、大分県はヴァルドワーズ県(フランス)へ向かいました。さらに、大阪府と大分県はカタロニア州(スペイン)へ、愛知県、京都府、広島県はバスク自治州(スペイン)を訪れました。最終日にはバルセロナのパラウ・ロベールで第3回全体交流会議が開催され、日本からの全参加者がカタロニア州に再集合しました。この会議には、EUの他の地域もオンラインで参加しました。
交流会議では、日本の各府県代表とEU地域代表が、ツアーを終えての洞察や成果を共有しました。例えば、大分県の代表者は、リュブリャナ都市域における観光事業についての紹介や、カタロニア州、ヴァルドワーズ県の水素関連事業およびモビリティ・プロジェクトから得た学びについて特に強調しました。大阪府は、今回の訪問が、2025年の大阪・関西万博に向けた新たなアイデアやEU地域との協力の可能性にどのように寄与したかに焦点を当てました。京都府は、リュブリャナ都市域で行われたスタートアップ企業との個別ミーティングや、ヴァルドワーズ県のフードテック分野での取り組みの紹介に感謝の意を表しました。また、バスク自治州における、大学や民間セクターを巻き込んだデジタル・トランスフォーメーションとスタートアップエコシステムを京都府のけいはんな学研都市と比較し、同様の目標を掲げていることを伝えました。広島県は、今回の訪問先が全て補助金によって地元産業の振興を支えている点に広島県との類似性を確認し、バスク自治州およびエミリア・ロマーニャ州の食と畜産のエコシステムに関心を示しました。愛知県は、排出量削減はプログラム参加者全員が直面する課題であると認識しました。バスク自治州とは、自動車産業が抱える共通の問題に関連した解決策を共に見出すことで、さらなる協力関係を築くことに関心を示しました。
EU地域側からは、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏が、既に協力関係にある愛知県とのさらなる協力のための行動計画を策定することができ、また広島大学とのスタートアップエコシステムに関する協力についての協議を始めることができたと発言しました。一方、エミリア・ロマーニャ州は、2025年に開催される大阪・関西万博への参加に関心を示すとともに、2023年11月にも来日を計画していることを明らかにしました。リュブリャナ都市域は、観光におけるイノベーション、テクノロジーパークとスタートアップエコシステムのパートナーシップ、グリーン水素やロボティクス等複数の分野において、日本の府県との協力関係の可能性を見いだせたと述べました。また京都府の発言に同調し、両地域・府県の協力関係を探るうえで、地元企業との個別ミーティングがいかに有意義であったか、そして二者間協力の価値についても繰り返し述べました。一方、ヴァルドワーズ県は、持続可能な農業、グリーン水素、エアモビリティといったテーマで、日本の府県、特に大阪府、京都府、大分県との協力関係を深めていきたいと考えていると述べました。また、愛知県や広島県とのさらなる協力関係にも関心を示しました。カタロニア州は、ビッグデータを活用したリビングラボとデジタル化について、大分県と大阪府、および京都府、愛知県、広島県との協力関係、そして宇宙開発戦略について愛知県とさらに対話を深めたいと述べました。また、大分県とは減災および航空管理、大阪府とは健康関連技術についても、協力関係の可能性がある分野として言及しました。カタロニア州はまた、2025年の大阪・関西万博への参加にも希望の意向を示しています。
全体として今回のスタディツアーでは、互いの地域・府県との直接のコミュニケーションの場が持てたことと、参加者間のネットワークを構築できたことが最も重要な成果であったと言えるでしょう。プログラムは2023年11月に終了しますが、EU地域と日本の府県は、IURCヘルプデスクによる残りの活動、例えば、関心のあるトピックに関する情報交換のためのウェビナーなどを通じて協力を継続します。その後、プログラムは秋に総括の会議を開催する予定です。
この記事は6月13日にIURCのウェブサイトに掲載された記事を和訳した後にJapan Helpdeskで編集した物です。英文記事は下記のリンクからご参照ください。