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怪#8-3(頼る)


谷山が

結論から先に言いますねと
話し始めた

少し首を傾げて
考えたような仕草のあと

のどが
渇いているらしいです



お茶が飲みたいと
言っておられます


だから、そうですね・・・



100日お茶をささげる
供養をしてください



・・・・

「はい、わかりました」


………


「えと、それから?」

「それだけです」


「へ?」

「それだけでいいの?」

「はい」

簡単すぎて
拍子抜けしましたが
そのあとが驚愕でした

谷山いわく

先輩の家から見て
北東側から
この霊は
来ています


北東って
そもそも
鬼門じゃないか
と、思った時


本来
そちらの家の方を
頼ったみたいですが
駄目だったようで
先輩に替えたみたいですよ

その家の方と
お知合いですか?



ヒィィィ
怖い、怖い


それ、実家だよ
私の母が住んでいる

私の住まいの
鬼門の方角に
実家があるなんて
始めて気がついた



お母さまの親しい方で
半身が動かなくなった状態で
亡くなった方が居ませんか?


秋原さんが転んだのは
先輩の家に入って
半身が
動かなくなったせいです

しびれたように
効かなくなって
それで、倒れたのです



ぞっとしました


少し前に母の姉
藤枝さんが亡くなりました

半身不随の状態で
「死」を自覚しながら
旅立ったのでした

それしかない…よ

な…

その後、ご主人の
吉おじさんは
ショックで長患いし
今では
病院に住んでいるかの如く
ずっと入院しています


長女も長男も
引き上げたっきり
帰ってきません

その時に
ふと、思い至りました

お仏壇やお墓のお世話は
誰がしているのだろうと

その日帰宅してから
母に尋ねてみました

すると
お寺さんの室内納骨に
安置してあるから
ご供養は万全

しかし、自宅の
お仏壇は・・・

誰もいないから
荒れてるかも

と、なったので
吉おじさんから鍵を借りて
上がりこんでみると


埃だらけの仏壇
生花はもちろんのこと
お水やお茶など
水分の類は空っぽ

心の中で
「お茶を欲しがるはずだよ」

藤枝おばさん
茶くれ婆を
自負していたもの

それから私の毎朝は
ご供養のお茶をいれる事が
日課となりました

ただねぇ
1人だけじゃなかったんだよ


その後
身内が亡くなるたびに
私に「お茶」をせがみに来る


末っ子の母を訪ねても
母は、全く意に介さない
説明しても
スルーします


犬のLeeには
朝な夕なに
ご供養のお水を上げるも

兄弟には無関心

結果として、必ず
私にお鉢が回る

100日どころか
お茶供養は
数年続きました


現在ね

数ヶ月の余命宣告を
受けた身内が居ます

だから、多分


また、始まる…んだ




毎日の重ねから私なりの 「思い」を綴っております 少しでも「あなたの」琴線に 触れるものがあれば幸いです 読んで下さり、ありがとうございます