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怪#9-1(本物)


#8に登場した
秋原と谷山は
私が退職するまで
長い間
サポートしてくれました

不思議なことに
転職の際
言われたのです

「私たちの役目は
  終わりました」

私は今後の人生においても
見えない世界、感じない世界
自力では
如何とも
しがたい世界を
助けてもらうつもりでした

しかし
それはダメなようです



当時は秋原、谷山のほかに
もう一人「祓える」
倉内という
能力者が居ました

みんなが私を守るように
そばにいてくれたので
大きな災禍にも合わず
済んだのかもしれません

そうでなければ
疲れ果てて

もしくは何かに
囚われて

おかしくなっていた
かもしれない


そうならないように
誰かが
何らかの意図をもって
守ってくれていたとしか
思えないのです


退職の際に
倉内は私に
水晶の数珠をくれました

無色透明で、安っぽい
ゴムに通して
作られています


倉内が「念」を込めて
作ってくれたとのこと


先輩に憑いたものを
「祓う」と
御印が入るからわかるよ


と、言っていました

そして本来、女性は
左手に着けるのだけど

先輩に憑くのは
量が多いし
先輩の運命は
男と同じものを
背負っている


過酷で大変な現世だから
男性と同様
右手に着けて
と、言われました

その後
みんなとは違う人生を
歩んでいますが
彼女たちがそばに
いてくれていた時のように
疲れることはありません


水晶の守りがあるから




何故なら

完全な
無色透明だったのに

今は
金色のラメのようなものが
一つ一つの粒の中に
ひしめくように
浮いています 

貰った時は
安っぽい
ガラス玉のようでしたが
今は神々しい
金色に輝いています


しかし、それも
ある時を境に
失ってしまいました


あれほど肌身離さず
身に着けていたのに
忽然と消えて
どこにもありません


それでも守りはあるのか?



そう
特に何か
困ることはない


私に
なにがしかの「力」でも
備わったのかしらね


あれから数年経ちましたが
縁が切れたように
会うことも
連絡が来ることも
ありません

 
本当に彼女たちの役目は
終わったのだなと
思わざるを得ませんが
一抹の寂しさも
感じています


今話では
彼女たちと経験した
小さい出来事をいくつか
思い出して書いてみます


<1>

私宅で食事を兼ねた休憩を
取っている際に
TVでは、ある心霊番組の
再放送をしていました
薄暗い山道にある
陰気なトンネルが
心霊スポットとして有名で
取材に行っている
番組でした

霊が見えることで
有名なタレントが
取材クルーと
向かう道すがら

そのトンネルが
ズームされ
アップになった瞬間



谷山がつぶやきました


「あー右側に
  女が立ってるや
          ここは本物だわ」


その数秒後
タレントも


「入口右側に
    女性が居ます」


と、コメントした

ひぃー
怖っ


続いて

別なロケ地で廃墟のような
ホテル跡地に
場面展開しました

正面玄関らしき入り口から
中に入ると
ホールの真ん中に
吹き抜けのように
2階に上がる
大きな階段があり

私は、てっきり
先程同様
国内と思っておりました

が…

その場面が写った瞬間

谷山が、すすすーと
TVに近づいて
階段の中腹、真ん中あたりを
指さしました



ここに
女の子が一人座ってる

金髪だから外人だね

昔見たアニメ
アルプスの少女ハイジに
出てきた「クララ」に
似てるし
服も同じようなの
着ているよ


言い終わるか
終わらないかの
タイミングで
ナレーターの音声が入った


ここは○○○○(外国)の
ホテル跡地です

幼い少女の幽霊が
現れるということで
とうとう廃業に
追い込まれたのですが
こうして閉館しても
少女は永遠の時を
同じ場所で
彷徨い
ループしているのです


谷山・・・・・


あんた・・・


ホントに見えてるのね




毎日の重ねから私なりの 「思い」を綴っております 少しでも「あなたの」琴線に 触れるものがあれば幸いです 読んで下さり、ありがとうございます