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4. デートに行く 【30日CPチャレンジ】

※二次創作
※キョンハル、古長前提のキョンと古泉
※バレンタイン翌日
※軽めの下ネタ






「どうも」
「おう」
「どうでしたか、昨日は」
「早速かよ。……どうもこうも、普通だ」
「それは普通にチョコレートをもらって、普通に涼宮さんといちゃいちゃ仲睦まじく過ごしたということでよろしいでしょうか?羨ましいですね」
「うるせぇ。そういうんじゃねぇよ」
「でも昨日の放課後は涼宮さんとご自宅で過ごされたんですよね?」
「なんでそこまで知ってんだお前」
「それは…一緒に下校されてましたし、そういうことだろうと思っただけです」
「…チョコはもらった」
「ほう」
「でも昨日は家に母親も妹も居てな」
「ああ、なるほど」
「俺抜きで女三人で盛り上がってたよ。なんでか妙に馴染んでんだ、ハルヒが」
「平和ですねぇ」
「平和なもんか。家での俺と学校での俺についての報告会なんて控えめに言って地獄だぞ。危うく幼少期のアルバムまで持ち出されかねん勢いだった。あのバカ親め」
「それはそれは」
「三人でひとしきり喋りまくって、それから思い出したようにチョコ責めだ。ハルヒのガトーショコラと、母親の生チョコと、妹の板チョコ溶かして固めたアラザンぶちまけチョコを全部食うことになった。ハルヒのは、まあ、うまかったが……母親と妹のは毎年食ってるからな。正直後半はキツかったぜ」
「それはそれは」
「…話ふっといて聞く気ゼロだな、お前」
「そんなことはないですよ」
「とにかくお前が期待してるようなことは何も無かったってことだ。残念だったなむっつりエスパー野郎」
「聞き捨てならないですけど聞き捨てておきます。涼宮さんが上機嫌なので何か進展があったのではと踏んでいたんですが…的外れだったようですね」
「アホな予想をするな。はずれだ、大はずれ」
「………」
「そもそも恋愛ごときで簡単に浮かれポンチになってたまるかってんだ」
「……………(帰りに駅まで涼宮さんを送る途中、ぎこちなくお礼を伝えたことも、どちらともなく手を繋いだことも、人気のない路地でディープなキスをして爆発寸前だったことも、全て機関からの報告で知っていますが……黙っておいた方がよさそうですね)」
「なにニヤついてんだ、気色悪い」
「いえ別に」
「そう言うお前はどうなんだ。お前も長門と帰ってたろ、昨日は」
「ええ。帰り道で長門さんお手製のザッハ・トルテを頂きました」
「おお」
「それからチョコレートのお礼にと、予約していたブックカフェに行こうと思ったんですが」
「…予約だと?」
「そこ引っかかります?」
「引っかかるに決まってるだろいやらしい」
「いやらしくはないです。ただ本が読めるカフェです。ちょっとした個室があるだけで」
「個室!予約!アウト!」
「落ち着いてください。そもそもそういうことができる個室ではありません」
「仮に健全な個室であったとしても事前に予約しておいて連れ込もうという用意周到さがいやらしい」
「結局どう転んでもいやらしいんじゃないですか」
「そうだな」
「開き直ってますね。恋人同士という関係上、バレンタイン当日に長門さんから何かしらプレゼントを頂けることは予測してましたし…ホワイトデーとは別に、軽くお礼をしたいと思っていたんですよ」
「ふぅん。で、行ったのか。ブックカフェとやらに」
「いえ、行きませんでした」
「…まさかどこぞのご休憩にでもしけこんだんじゃあるまいなこのどエロ病超能力者」
「しけこんでませんしどエロ病でもありません。というか、あなたから僕はそんな風に見えているんですか?」
「見える。長門の無垢さにつけ込んで手取り足取りいかがわしい行為に及んでいそうに見える」
「心外ですね。むしろいつも長門さんの方がーー……いや、まあ、それはいいんですけど」
「おい、なにを言いかけた」
「大したことではありません。それより話を元に戻しましょう」
「おい」
「カフェへ向かう途中に回転寿司があったんです」
「(無理やり話を逸らしやがった)……そりゃあるだろ。回転寿司くらい」
「長門さんがその前に立ち止まって動かなくなってしまって」
「散歩中の犬みたいだな」
「まさに。ああなった長門さんはテコでも動きませんからね。仕方なく予定を変更して回転寿司に入ったんです」
「へぇ。バレンタインに寿司か」
「はい。本当ならカフェでホットチョコレートでも飲みながら二人でゆったり読書を楽しみたかったんですけど」
「ホットチョコレートだとかゆったり楽しみたいとか何だそれは隠語か?いやらしい」
「いい加減いやらしいから離れてください」
「冗談だ。ま、長門だって読書より寿司の気分になることくらいあるだろ」
「そうですね。それで二人で食事をしまして」
「で?」
「長門さんが129枚食べたんです」
「あー……まあ、あいつなら余裕そうだな。それくらいは」
「ええ。以前一緒に来たときは493枚食べてましたからね」
「さすがに止めろよ」
「決して急いてはいないというのに流れるようにするすると長門さんのくちびるに吸い込まれていく中トロ、いくら、炙りサーモンバジルチーズ……その光景を見ていると、いつの間にか時間が経っているんですよねぇ。困ったものです」
「トランス状態じゃねぇか。〝いっぱい食べる君が好き♡〟ったって限度があるぞ」
「そうなんですけど、心なしか楽しそうに食べている姿を見ていると止められないんです。いっぱい食べる長門さんも好きですし」
「堂々とのろけるなツッコミきれん。しかしよく金が持つな」
「経費で落ちますから」
「汚ねぇ。だったら俺がハルヒにおごらされる分も経費で落としてくれよ」
「それは難しいですね」
「あっさり断るな。死活問題だぞ」
「死にませんから大丈夫です」
「おい」
「それよりも129枚という数字に、何か思うことはありませんか?」
「シンプルに食べ過ぎだな」
「それ以外で」
「そうだな…あ、もう一枚食べればガチャが回せる」
「残念ながら今回僕たちが行ったのは、く◯寿司ではなくスシ◯ーなんですよ」
「知るかそんなこと。なんだ?またお前のスリーサイズクイズか?」
「僕の身長、体重、その他サイズの数値に129が当てはまることってあり得ます?」
「あり得る。実はそのスラックスの膝から下は全部シークレットシューズで実際の身長が129センチな可能性はゼロじゃない」
「ゼロです。ちゃんと脚あります」
「見せなくていい。あとはそうだな……チン」
「あからさまな下ネタはやめましょう。仮にその部位のサイズだとしても129センチメートルは規格外すぎますよ」
「もはや腕だな。でも単位がミリメートルならあり得るだろ。現実的な数値だ。129ミリメートル」
「!そこまで短小じゃ」
「あからさまな下ネタはやめろ」
「…すみません、取り乱しました。名誉が傷つけられそうだったのでつい」
「つーかそもそも、長門が寿司皿の枚数でそんなことを伝える意味がわからん」
「そうですね」
「結局なんなんだ」
「129を語呂合わせで読んでみてください」
「いちに……いつ……いつく………いつきゅー?」
「わざとやってませんか?」
「やってない。なんだいつきゅーって。ご当地キャラかなんかか」
「〝きゅう〟じゃなくて〝き〟で止めてください」
「いつ…………言わんとすることは分かった。分かったが口に出したくない」
「構いません。僕としてもあなたに名前を呼ばれたい訳ではありませんから。重要なのはこれが長門さんなりの愛情表現なのではないかという点です」
「…恋人の名前の分だけ寿司を食うのがお前らの愛情表現なのか?」
「迂遠な方法ではありますが長門さんですからね。彼女が人間には予測し得ない伝達方を試みたとしてもおかしくはありません」
「怖えよ。目に映るすべてのことはメッセージかよ」
「なんとでも言ってください。彼女のどんなにささやかな意思表示にも柔軟に対応したいんです、僕は」
「長門に確認したのか?『僕の名前の語呂合わせになるようにお寿司を食べてくれたんですね♡ゆきりん♡』って。キモ」
「勝手にモノマネして勝手にキモがらないで下さい。確認は……していませんけど」
「じゃあたまたま129枚だったんだろ、どう考えても」
「ええ、真意を確かめていない以上、僕の思い込みである可能性は大いにあります。しかし言語を伴わないメッセージに言語で切り返すのは無粋というものですよ。ただ彼女の行動を咀嚼し、解釈し、受け止める。僕がするのはそれだけです」
「こうやって生まれるんだな、宗教って」

ガチャ

「お、長門」
「………」
「コンピ研の用事は終わったんですか?」
「………(コクリ)」
「ちょうど良かった、聞きたいことがある」
「聞くんですか?そんな直球な」
「お前だって気になるだろ」
「なりますけど……」
「なんだよ」
「いえ、いくら僕でも友人の前で恋人からの愛を確認するというのはさすがに恥ずかしいので」
「そのふざけた幻想をぶち◯す」
「コピーライトがつきそうなセリフですね」
「………」
「長門、正直に答えてくれ。昨日、古泉と回転寿司に行ったって話を聞いたんだがーー…」


***


「……なあハルヒ」
「なによ、キョン」
「もし俺が回転寿司で861枚食ったらどうする」
「なにそれ。心理テスト?」
「いや、マジで」
「あんたがそんなに大食いだとは思えないんだけど…とりあえず心配するわね。食べ過ぎだし」
「愛を感じるか?」
「…は?」
「愛」
「……」
「……」
「……あんた、たまに怖いわ」
「だよな」
「結局なんなの?」
「いい、気にすんな」
「はぁ?」
「あー、お前と話してると安心する」
「なっ…!……なによ、いきなり」
「ストレートな表現にストレートな反応が返ってくるってのはいいもんだなと思ってな」
「なにそれ」
「とりあえずお前はずっとそのままでいてくれ」
「…ぜんっぜん、意味わかんない」






すっかり放置していた推しカプ30日チャレンジ。
書いてるうちに「4. デートに行く」というテーマからずれてしまった上に、「3. 映画を見る」を飛ばしてしまってるんですが大目に見てください。そのうち書きます。

キョンと古泉がひたすら会話してるだけのハルヒSSが好きなんですよね…そこにキョンハル(好物)と古長(大好物)が合わさったらサイコーだなと思ったので自給自足しました。

キョンハルと古長が付き合ってたら、キョンハルの方が常識的な付き合い方をしそう。
古長は大人しそうに見えて変というか、二人の間でしか通じない奇妙なコミュニケーションを取ってそう。
キョンは簡単にのろけないけど、古泉は臆面もなくのろけそう。
キョンが言わなくても古泉は機関経由キョンハルの進展具合を把握してそう(長門は言わずもがな)
ハルヒはキョンの家族とすぐ仲良くなりそう。
……などなど、勝手な妄想をぜんぶぶちこみました。楽しかった。

なかなか絵を描くタイミングがないので、しばらくは文章で発散するかもしれません。30日チャレンジも完走したいしな…一年経っちゃってるけど



SOS⭐︎感謝祭


きた!

無事に当選してました!やったー!
(もしかしたら最速先行だしほぼ当選する抽選なのかもしれないけど)とりあえずひと安心。この前ずとまよ落ちたからさぁ…
とにかくこれで朗読劇「ワンダリング・シャドウ」が聞ける…!!
めちゃくちゃ楽しみです!
『劇場』の発売日もそろそろ発表してくれたらもっと嬉しい…な……!(そろそろ渇望がやばい)


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