壁をじっと見ていても、壁が変わっていることがわからないのです。それは見ている私も壁も、同じスピードで変わっていくからです。
『無常の見方』より
❖心の眼で無常を発見する
私も、世界も同じスピードで絶えず変わっていきます。
しかし全て同じスピードなので、この変化がわかりにくいのですね。
壁をじっと見ていても、壁が変わっていることがわからないのです。
それは見ている私も壁も、同じスピードで変わっていくからです。
物質は素粒子のかたまりで、素粒子は同じ速さで変わっているでしょう?
だから「私が見ている」という気持ちしかないのです。
問題は自分と世界の変化のスピードが同じことにあるのです。
この「同じスピード」という点に、人間は騙されるのです。
毎日子どもを見ているお母さんは、子供の変化にあまり気づきません。
ところが1週間のキャンプから子供が帰ってくると、「たくましくなった」などと大きな変化を発見して驚くのです。
私も壁も、お母さんも子供も、同じ速度で変化しています。
しかし我々は普段はそのことに気づきません。
それは並んでジョギングしていると、互いに止まって見えるようなものです。
そこで仏教では集中力を育てて、変化を発見する能力を高めるのです。
心の変化は物質よりずっと速く、光の17倍です。
心の眼で見ると、心の無常も、物質の無常も見えてきます。
心は物質と変化の速さが違うので、変化していることがわかるのです。
無常を発見すると、いてもたってもいられなくなります。
全てが変化し、何につかまることもできない。
それまでの世界は全て崩れます。
自分もなくなる。
言葉もなくなる。
それから心は安定して、怒りも憎しみもなくなるのです。
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