性別と私


僕の性別は、人に説明するときは「オンナノヒトからオトコノヒトになったヒト」です。と説明している。
とてもよく言われることとして
「今は治療も手術もして、男性になったんだから、私たちはちゃんと男性として扱うから大丈夫よ」
とか
「今はもう望む身体になってハッピーなんだろ?」
などがあるが、断じてそんなことはない。

人は何をもってして男/女と区別するのか、その話をし始めるととても熱くなってしまいそうなのでここでは控えるけど、

手術をした=男性、に、なれるのだろうか。

性転換、という言葉があるけれど、性は転換したりはしない。望む性に見た目が近づいていくだけで、これまで生きてきた女性として生きてきた文化や歴史が消えるわけではないし、染色体もXXなままだし、身体能力だのなんだのとで、男性と同じように暮らせるか、というと、そうではない。

ついでにいうと、「性別違和はいつ頃から感じてたんですか?」という質問にも、うまく答える事が出来ない
僕は昔から、トランスして男性として社会生活を送っている今に至るまで、自分を男性と感じたことがない。じゃあなんでトランスしたんだよ、と言われてしまっても仕方がないと思っているが、もうとにかくこれ以上女性として生きていけない、死のう、というくらい女性として生きていくことが苦痛で、だけど性別はふたつしかないことになっていて、消去法で男性を選んだ。
そのことによってかなり生きる上での苦痛は減ったけど、日々性別をつきつけられるたびに「やっぱり男じゃないんだよね自分」と思わされることが増えて、皮肉なことにトランスして長くなるにつれ、周囲に男性として認識されればされるほど、いかに自分が女性であるか、突きつけられる。

セクシュアルマイノリティが世の中で理解がすすんで、誰もが自分の性別を当たり前に公表して胸を張って生きることの出来る社会になったら素晴らしいと思う。だけれど僕は、出来れば、どちらでもいいから典型的な性別でありたかった。
だって苦しいから。トランスしたからって、望むすがや在りたいせいになれる訳ではないし、問題は解決しない。別な種類の苦しさや絶望って、きっと死ぬまでついてくるんだと思う。僕だから伝えられること、なんてなくていいから典型的な性別で、みんなが当たり前に経験していることを、僕だってしてみたかった。

だけどそんなことは不可能だから、日々悩みながら、なんとかなだめすかし、折り合いをつけ、必死に生きていくしかない。

僕にとって性別とは、一生縛られるものである。

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