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HCDは世の中のためになる?

この投稿はDevLOVE Advent Calendar 2019 12/23用に書いたものです。

今年は6/22にDevLOVE Xで登壇する機会をいただきまして、UXデザインに関わってきた10年を振り返るお話をしました。その時の話はこちらで。

アドベントカレンダーの方では、DevLOVE Xの時とはちょっと切り口を変えてUXデザインのための活動の1つである「HCD(Human Centered Design )」について振り返ってみようと思います。

HCDに関する痛烈な問い

唐突ですが、最近「トロとパズル」というゲームをやっています。見た目はもちろんのこと、音楽がほんわかしてて好きです。レベルは現在148。いくつが天井なんだろう?

ある日、いつものようにトロたちとお話をしていたらこんなことを聞かれまして…

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「あのねあのね、HCDって世の中のためになる?」

・・・

・・・

・・・

どうかなー?w

「世の中のためになる」と、トロに教えていいか少し迷ってしまいましたw

HCDが世の中のためになっている状態とは?

HCDが世の中のためになっている状態とは、どういう状態でしょうか?
「HCDがその目的を果たしていることで、ユーザーに価値を提供している状態」であれば、世の中のためになっていると言えそうなので一旦これで考えてみようと思います。
(っていう定義や条件を明確にしないでの考察に意味はないですからね。切り口が違えばまた別の結論もあり得るものだと思っています)

HCDに関する規格、ISO9241-210によると、その目的は「システムの使い方に焦点を当て、人間工学やユーザビリティの知識と技術を適用することにより、インタラクティブシステムをより使いやすくすること」で、そのためのシステムの設計と開発へのアプローチがHCDであるとされています。

また、この規格がISO13407から9241-210に改定された際にUXに関する言及が追加されており、この活動の原則として「設計プロセス全般にわたってUXを考慮することでよいUXを達成すること」が加えられていますので、インタラクティブシステムをより使いやすくすることだけでなく、よいUXを達成することも目的と言って良さそうです。

この10年で、HCDはその目的を果たしてきたのか

私がHCD専門家の認定を受けたのが10年前の2009年。この年がHCD専門家認定制度のできた年でもあり、HCDという活動の認知度が上がってきたのもこの時期からだと思います。

私はこの時期から他業界の勉強会にも多く参加するようになっており、そんな中で感じたのは、HCDのようにユーザーやコンテキストに焦点を当てること、フィードバックループを回して開発することはHCDだけの特別なことではないということでした。

これに気付いてから、様々な開発の現場で上がっている成果の中で、「結果としてHCD的なものが活かされている」のは事実ではあるものの、そのやり方が「HCDと言う名前で呼ばれるものあるという認識がされていない場合もある」ことに敏感になっていました。
このあたりもトロに「HCDは世の中のためになるよ!」と胸を張って言えなかった要因になっていた気がします。

ただ、これを悲観的に見ていたわけでもありません。HCDはあくまで開発の中のいち手段に過ぎないからです。
むしろ、他業界の中にあるHCDにない手法やプロセスの方に興味が湧いていたので、後にCSPO、CSMの認定に繋げて行くことができました。

「HCDは世の中のためになるよ!」と、トロに胸を張って言えるようになるには

この10年で様々な開発の現場の話を聞いて感じたことの1つは、同じものをそれぞれの業界で別の呼び方で扱っていることがとても多いということでした。
それは、それぞれの現場の中で最適化を繰り返す中での独自進化の結果でもあると思います。

HCDにも認知科学、心理学、人間工学などをバックボーンとした多くの「HCDだけのノウハウ」が、もちろんあると思っているので、まずはこれを実績として広めていくことが先決かなと思いました。

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あとはmixですね。他業界のノウハウも見てきた者として、より適宜的に必要なやり方をチョイスできることが大事かなと。

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