雪晒しツアー 〜その1〜
今日は新潟まで出掛けてきました。真夏に着る麻の着物(といっても上布とよばれ、その希少価値からとても高級品。着物ファンにはあこがれの品)はこんなに雪深いところで作られています。苧麻という麻は乾燥に弱いため、関東地方のような冬に乾燥する地域では生産が難しいのです。雪国では湿気もあるので作業にとても適しています。とはいっても、暖房を入れては部屋が乾燥するので、織る方は織る前までは暖房を入れ、あとはスイッチを切って作業されます。
また、麻は糸にするまでが大変。上の写真が青苧(カラムシ)からとった繊維(今では福島県で主に生産されていますが、こちらも福島県産とのこと)。これを爪で細く細く裂いていきます。そして裂いたものを結ばずに、撚(よ)ってつなげ長い1本の糸にしていきます。これを績(う)むといい、この行程の作業をする方がなかなかいらっしゃらないとのこと。私も裂く体験をしましたが、部屋が乾燥しているため、パーマをかけた髪のようにすぐにクルクルしてしまいます。身をもって乾燥がいかに作業しずらいかがわかりました。反物にするには600g必要で、写真のものは200g。この3束分を糸にしなくてはなりません。かな〜〜〜〜〜〜りの手間です。雪国の方の我慢強い気質、また実際家にこもるしかなかったであろう昔ならではの作業ですね。湿度のある雪国という環境と、その地にくらす人の気質によって育まれた越後上布。買えないけど、なくならないで欲しい。
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