デンジャラス・ベイビーズ

デンジャラス・ベイビーズ(中華人民共和国:2018年)
監督:マオ・ウェイ
脚本:チャオ・ホン
出演:クロエ・チャオ
  :バオ・ウェンジン
  :ユエン・リンイェン
  :チャン・ティエンチー
  :リー・イードン
 
可憐な美女がむさくるしい悪党どもをバッタバッタとなぎ倒して活躍するのはキラーコンテンツ。時々そういう成分を摂取しないと生きる活力が失われるので、処方薬のように視聴した作品。ドラマパートや映像はいま一つ過ぎるが、本格的なアクションと主演女優二人の可愛さが際立つ、そこそこ楽しめた作品。
体育大学で学ぶ散打(現代的な中華武術)を使うJDは自信過剰気味だが数人がかりでも勝ってしまうほどの強者。寮で同室の伝統武術を使うJDとはケンカが絶えないが、どんくさい女性教師を姉のように慕って日々精進している。そんな二人は研修旅行でタイへ。旅行を楽しむが、間抜けな女性教師が人身売買組織に誘拐されてしまう。JDたちは現地のコソ泥二人組の協力を得て、ケンカしながらもあの手この手で人身売買組織を追跡していく。
ストーリーは単純で退屈。秘密とか陰謀はなく、緊迫感は感じない。なのでJD二人が夜のタイの街をさまよい焦燥感を表しても、何も切なくない。地元警察に捜索願いを出すが、自分たちで独自に捜査するのも無理があり、研修旅行なのに他の学生とか他の引率教師とか、大学へ助けを求めるとかの方が堅実だろと、ほかの手段が頭によぎってしまう。
JD二人とドジっ子女性教師の掛け合いはくすっと笑えるほどのコミカルさがあり、小悪党二人も間抜けなやり取りで失笑ものなのだが、人身売買組織のリーダーは一切笑わず部下にも冷淡な人物で、シリアスな構成でバランスが悪い。更にJD二人の掛け合いが犬のケンカのようにギャアギャア喚きあい、せっかくの可愛らしい容姿なのにもったいない。映像表現も「???」と思わせてくれる。JD二人の動きを何度も繰り返し見せたり、音楽に合わせて原色ライトがピカピカ明滅する。上や下からのアングルからのカメラワークや無意味なスローモーション等々なんか落ち着かない。その他ストーリー展開が悪く、無駄に時間を消費していてるようにも見えた。誘拐劇は絶えず展開が動いて、捜査に焦りがある方がハラハラして感情移入しやすいと思う。セクシーで賢く、可愛くて強いってのがこの手の作品の王道なんだが、賢さがあまり感じられない。悪人どもを誘惑し、裏をかいて手がかりをつかみ、ピンチには知性と武術で乗り越えて、最後は大円団っていうのを期待したんだが、展開とエンドが弱すぎる。
しかし格闘アクションになると見どころがたくさん。二人の特技である武術の特性が光る。散打JDはキレのいい打撃に素早い投げ技からの流れる関節技と現代的な動きが小気味よい。打点の高い飛び膝蹴りはアクションの王道的にスカッとする。ショートカットに赤いドレス姿が某ゾンビサバイバルゲームの謎のエージェントぽくって似合っているんだが、できたらその格好でもっと暴れて欲しかった。ありきたりの薄着でアクションするのはつまらない。伝統派JDは流麗な動きで掌から指先への動きが美しい。槍の達人らしいが、アクションで使うのはほぼラストのみ。穂先は突き刺さないけど、敵を叩きのめしていくのは爽快感がある。なかでも一番のお気に入りはツインテール、へそ出しミニスカセーラー服姿での格闘シーン。クルクルと回るとツインテールとミニスカがヒラヒラと舞って、強さと同時に可愛らしさがあって観ていて楽しかった。もちろんショートパンツ履いてるから安心して観ていられる。二人ともその格好で最後まで戦ってほしかった。
ラスボスもとってつけたような登場人物。作り手は伏線を回収したつもりだろうが、全然うまくない。そして何故かあれだけ強かったJD二人がここでボコボコにされる。可愛らしいJDたちのアザや傷の表現は良し(良くはないが)としても血反吐を吐くのは観ていてあまり楽しくない。コソ泥の兄貴分は奮闘していたがラストアクションには余計。
最近過去の作品のリメイクや新解釈が盛んだが、個人的願望を言えば宇宙を飛び回り様々なトラブルを解決(ややこしく?)する、赤毛のハネ髪と黒髪ロングのダーティな二人組作品を今の技術で実写リメイクしてもらえんかな。あれがオレの強い美女二人組の原点。

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