サタニックパニック

サタニックパニック(アメリカ:2021年)
監督:チェルシー・スターダスト
脚本:グラディ・ヘンドリックス
出演:ヘイリー・グリフィス
  :レベッカ・ローミン
  :ルビー・モディーン
  :アーデン・マリーン
  :ジェリー・オコンネル
 
ピザ配達の女子が、カルトの悪魔召喚に巻き込まれた。彼女は同じくとらわれた女子と一緒に脱出しようと奮闘するが、そこにカルトのリーダーである豪邸の女主人と反抗的なNo,2の争いが加わり事態は悪化していく。自分にとってちょっと苦手なスプラッター、グロ表現はあるが、割と見やすく意外と嫌悪感は少なかった。でもそれほど楽しい作品でもない。
シンガーソングライター志望の女子は金を稼ぐためにピザ屋で配達のバイト。初日から数件駆け廻るが、災難だらけ。おまけに愛用のスクーターのガス代にも事欠く始末。ある豪邸にピザを届けるが、不愛想な男にチップを請求するのを忘れてしまい、スクーターはガス欠になってしまう。せめて少額だけでも貰おうと豪邸に入り込むと、そこでは赤いローブをまとった一団が何やら怪しげな集会を開いていた。恐る恐る事情を説明するが、大勢に拘束され、一服盛られて気絶する。気づくと隣に中年の男がいたが、その男は「助けてやる」と言いながら素っ裸になって女子に襲いかかってくる。この豪邸に集まった連中の目的とは。彼女は脱出することができるのか。狂乱の一夜が始まる。
B級感満載の作りが肩肘張らずに視聴することができた。血糊がドバドバっと溢れて、ミミズの群れがうごめく嘔吐物を吐く。どてッ腹をドリルで貫かれたり、感電死もあったり、地上で溺死させられたり等々。飯食べながら観ることはできない映像だが、それらをくどく推したものではなく、主人公の女子の奮闘が描かれているのは見やすいと感じた。スプラッター展開を変に茶化して笑いに誘うことなく、女子が逃げようとがんばる姿を描いたのがよかったと思う。それでも展開はメチャクチャなんだが。襲ってくる敵から逃げる展開が中心なので、反撃するシーンは少なく、物足りなさは感じた。
襲ってくるカルトどもが使う魔術には説得力がある。心臓をえぐり出して、化物を生み出したり、髪の毛を使って相手を呪うなど、なかなか本格的には感じた。カルトのリーダー、女主人が脳天に鉄串を突き立てられても復活し、自分に反抗的なNo,2に呪いをかけるのもなかなか説得力がある。演じるレベッカ・ローミンが怪しさをプンプン振りまく美魔女を好演しており、余裕あるほほ笑みを浮かべつつ、呪い殺していくのは迫力がある。
出てくる登場人物も変人が中心。女子が最初に逃げ込んだ屋敷の娘の姉は股間にドリルを付けて、女子を串刺しにしようと襲ってくる。カルトのNo,2の女はどうにかしてリーダーの女主人を出し抜こうと考えて足を引っ張る。その腰ぎんちゃくの男はいかにも無節操漢。マッチングアプリで誘い出された勘違い男は可愛そうに女主人に内臓を取り出される。そして女子と行動を共にする、女主人の娘。みんながみんな行動や発言がエキセントリックで、キャラクター的には悪ふざけも感じた。必要な人物と不必要な人物が分けられていないので、短い尺ながら時間の無駄に感じる。
同様にいくつかの魔術の儀式を繰り広げるが、これも必要だったのかと思う。カルトはもっと人海戦術で女子と女主人の娘を追い詰めた方がいいのではと思った。最後の悪魔を呼び出す儀式で二人が必要なら、呪いをかけるより、逃亡の攻防を見せてスリルと迫力を感じさせてほしかった。
そして「サムの掟」。世界中の「サム」は助け合うことというよく分からんルールだが、それが女子の希望を繋ぐ。が、唐突過ぎて理由が不明。物語序盤に印象的に表れた人物こそが実は…という展開ではあるが、急すぎるし、理由がよく分からない。何で今さらって思わされる。
ムチャクチャ気持ち悪いってモノでもなく、駄作ってわけでもない。ごくふつうに観ることができて、程よくスプラッターとグロと、お色気と作り手の偏執を観ることができる。でも一回見るだけでいいや。

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