PORTALS ポータルズ

PORTALS ポータルズ(2019年:アメリカ)
監督:グレッグ・ヘイル、リアム・オドネル、エドゥアルド・サンチェス、ティモ・ジャヤント
 出演:ディアンナ・ルッソ
   :トレミー・スローカム
   :ニール・ホプキンス
   :ミシェル・ウィーバー
   :グレッチェン・ロッジ
 
2020年8月5日、人類はブラックホールを生み出すことに成功する。しかし宇宙で原因不明の爆発が発生し世界中が停電。地球上の人類は恐怖から大混乱を起こすが、同時に世界各地に謎のドアのようなモノリスが現れる。そのモノリスはまるで操るかのように選ばれた人間を呼びよせ、その中に取り込んでいく。エピローグのような話を含めて4つのストーリーからなるオムニバス形式の作品。その中でもある家族の父の話をメインストーリーとしている。
思っていたの違うというのが正直な感想。謎のモノリス“ポータル”を巡ってサスペンスタッチなSFストーリーと様々な人間ドラマが三編描かれているが、どれも明確な答えやオチがないので「???」という気持ちになる。ポータルは操るように人を呼び寄せ、その中に吸い込むのだが、操られているからといってその人がポータルの中に吸い込まれるわけではない。あくまでも選ばれた人物を吸い込む。しかしなぜその人を吸い込むのか理由はなく、訳が分からない。何がしたいのか、何が目的なのかが一切語られない。反面それが不気味なのだが。
そしてさらに思っていた以上に血しぶきが上がる。救急コールセンターでの仲間内で揉めて拳銃で射殺した時は控えめだったが、地下駐車場での姉妹の話では自動車のドアで挟み殺したり、轢き殺したりと血まみれ。さらにはある家族の父のパートでは女医の頭部が爆発して父親は血しぶき浴びるわ、両目をえぐり出して大出血するわでドロッドロ。エピローグの黒人科学者は謎の力で顔面の肉が削られる描写もリアリティがありすぎる。もっとサスペンスタッチのスリリングな展開を期待してたんだがなぁ。
一話目は救急コールセンターが舞台。各地に現れるポータルに混乱するスタッフの様子が描かれるが、母親が一人自宅に残した娘と連絡をつかないこと心配するが、リーダーは職務を優先するように諭す。しかしポータルに操られたスタッフが拳銃をとりだして、その場は騒然となる。
二話目はプロローグの続き。郊外への避難中にポータルと接触してしまった家族の父親が病院のベッド目覚めるところから始まる。家族とはぐれた彼は左眼の視力を失いつつあるが、実はその左眼は真実を見抜く目と変化しており、彼こそはポータルを一度通って帰ってきた存在だった。父親の真実を問う戦いが始まる。
三話目はジャカルタの地下駐車場での姉妹の話。姉は自分が妊娠をしていることを告白するが、妹は数日前に幼い子供を亡くしていた。二人の葛藤がぶつかり合う中にポータルが出現し、地下駐車場に居合わせた人たちがゾンビのように操られて彼女たちをポータルへ誘おうと追いかける。姉が何度もポータルに精神を支配される姿が不気味。
オムニバス形式で世界各所の混乱が見えて恐怖を感じさせてくれるが、設定の統一にズレが見られて残念。しかし、ポータルを巡ってそれぞれストーリーの登場人物の心理的描写、家族を思う優しさと葛藤はよく描かれている。
そしてラストのエピローグ。科学者らしき黒人男性と白人女性がポータルを通じた実験を行う。その最後はもちろん悲惨なものだったが、「人類は終わる」というセリフにはなんで?としか疑問だった。どうもポータルは人類より高度な異次元の存在が人類を試すように地球上に出現させたらしい。その割には父親に取引を持ち掛けるなどちゃっちぃな思ってしまった。
期待したほど怖くなく、更に期待したほどの謎の解明もなく、もっと期待したほどの盛り上がりもなく、非常に残念の3乗の作品。人間の心へのクローズアップは良かったんだが今一つストーリーにかかるものでもなかった。それとブラックホールはどこ行った。

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