ジョニー・ノックスヴィル アクション・ポイント / ゲスの極みオトナの遊園地

ジョニー・ノックスヴィル アクション・ポイント / ゲスの極みオトナの遊園地(アメリカ:2018年)
監督:ティク・カークビー
脚本:ジョン・オルトシュラー、ジョニー・ノックスヴィル
出演:ジョニー・ノックスヴィル
  :ブリジット・ランディ=ペイン
  :ジョニー・ペムバートン
  :コナー・マクヴィッカー
  :クリス・ポティアス
 
アメリカ片田舎の野外遊園地の経営者がぶっ飛んだ経営方針で大手遊園地に対抗するコメディ。娘との絆の回復も見せるハートフルな展開を見せるかと思ったが特に重要ではなく、ただただ共感できないドタバタと、独りよがりの立ち回りが観ていて苦行にも感じた迷作。
かつて遊園地経営していた祖父は孫娘にその遊園地の思い出を語る。その遊園地は野外を活用して、ボロボロの遊具と個性的なスタッフたちをなんとか取り仕切りつつ地元民に愛されていた。しかしその近所に大手遊園地が開業。客足はそちらへ流れていた。そんな日都会から経営者の娘が帰省。何やら経営者父に対して話したいことがある様子。そんなことも気に留めず、経営者は娘にいい所を見せようと張り切って仕事に励むが、いかんせん客は減る一方。偵察と物資の調達のため大手遊園地に侵入すると地元不動産屋が経営者の遊園地の買収を密談していた。このままでは大手に食いつぶされてしまうと感じた経営者は園の方針を転換。大手が安全で楽しいを売りにするなら、こっちは危険で楽しいを売りにするとぶっ飛んだ経営方針を打ち上げる。彼の遊園地はどうなるのか。そして娘の想いとは。
何がおもしろい?という展開ばかり。確かに経営者のぶっ飛んだ方針で遊園地がメチャクチャ底抜けの展開を見せるのだが、どれも観ていて痛々しいものばかり。スロープコースターのカートのブレーキを切り落とす、回転遊具のリミッターを外して高速回転で客を振り廻す。ジップラインは途中でワイヤーを切られて池に叩き落されるなどなど、危なっかしいものばかり。これで人気が出るのはおかしい。しかも観ていて笑えるものではない。ケガするスタッフ・客も続出し、これも観てのんきに笑えない。
そして主人公である経営者にも共感できない。零細が大手に飲み込まれそうになる展開はあるものの、その対抗が危険を売りにするという考えが恐ろしい。自己責任と片づけるのは勝手だが、訴訟大国であるアメリカでここまで危ない遊具でケガをしたら、責任追及は免れんぞ。更に借金しているようならなおさら。問答無用、即時即刻でアウトでしかない。「子どもたちのために」とお題目を唱えたが、独りよがりの思いつきで行動しているので、やっていることがチグハグに感じてしまう。ビール片手に園内をウロウロし、適当に遊具を修繕し、娘の前ではいいカッコを見せようと躍起になる。典型的ではあるが、映画の中でしか創るキャラクターなので、それはそれで仕方ない。最後まで問題だらけのスタッフが揉めず付いてきたので、妙にカリスマはあるんだろうが。
最後でもあまり共感ができない。後は野となれ山となれ的にやりたい放題。ある意味逆転劇かもしれんが、責任を他人におしつけるのは好きになれん。原因を作った経営者が破壊と狼藉の限りを高見物して笑うのはコメディというより不条理に感じた。ビール飲み放題ってお前、子どもたちのための遊園地って言うてたやん。子どもに呑ますつもりか。よく観たら小さな子どもは少なく、ミドルティーンぐらいの少年少女が多いので、オトナびたい年頃が対象なんだろか。タイトルは「ゲスの極みオトナ」って付いてるけど。
正直おもしろさを感じなかった。観ていて経営者のぶっ飛び・やらかしにイライラが募り、買収側の不動産屋の方がまともに感じる。米コメディの命知らず、ジョニー・ノックスヴィルの主演作品を初めて観たが好きになれなかった。むしろ嫌いになった。これで笑うんだからアメリカ人の笑いの融点はよく分からない。

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