監獄都市 プリズンシティ

監獄都市 プリズンシティ(アメリカ・イギリス:2017年)
監督:S・A・ヘイルウッド
脚本:S・A・ヘイルウッド
出演:ロッテ・ファービーク
  :アリソン・ドゥーディ
  :ライナス・ローチ
  :L・スコット・コードウェル
  :クラーク・ピータース
 
身体に埋め込んだ情報チップで市民を統制管理している近未来において、10年間その収監生活を動画配信されていた男の物語。彼は市民の人気を得ているが、自分の生活を配信されているとは知らず、更に新都市をその身柄を新都市へと移送されようとしていた。配信会社の企みにより、市民の中であることをさせ、その様子を配信してさらに富を得ようと目論んでいた。しかし天才ハッカーである男の弟が移送中に襲撃。仲間の犠牲を出しながら男を救出しようとしたが、男は一人脱走してしまう。彼の逃亡と、配信会社の上層部による陰謀、自由と反抗を求める弟たちが交錯していく。
インディペンデント系作品のためか、雰囲気が独特。浮遊する巨大なドローンが市民を監視し、違反者を容赦なく処罰していく。反面遠くない未来を舞台にしているためか、街はやや古めかしく、閑散とした荒れた様子を呈しており、これまたクラシックなエンジン車も走っている。一般庶民はあまり出てこないが、街からあぶれたホームレスがコミュニティを形成しており、その反面特権を有する富裕層は非常に良い暮らしをしているようではある。しかし、その対比はいまいちインパクトに残らず、ただ悪げな陰謀を巡らして、自分の富を更に大きくしようとするのみで、存在感が弱い。陰謀を巡らす配信会社のトップは女性で、この人はそこそこのさばってくれるが、キャラクター性があるだけで何がしたいのかよく分からない。そもそも囚人の生活を配信してバズってくれるんだろうか。そして新都市で試験させられることを観て喜ぶ人間なんかもいるんだろうか。いくらリアルでも炎上・非難させられるだけと思う。
それぞれの登場人物なんかも混ざって分かりにくい。脱走した主人公の男はあまり行動せず、逃亡していても緊迫感はない。自分の境遇を知るのも遅ければ、容姿を少し変えただけで追跡から逃れられるというのもご都合的。結局身体にいくつか追跡チップが入っているので、ドローンに監視されていた。追ってくる敵を振り切り、時には逆襲して逃亡する姿を見たかったのだが、途中ホームレスのコミュニティに受け入れられて、その中の女性といい仲になり、その最中を配信されるという大失態を犯していた。
もう一つの勢力、天才ハッカーの弟が率いる反抗組織も存在がイマイチ越してイマサン程度。パルクールを駆使してビルからビルへと渡って兄を乗せた護送車を襲撃するが、何の武器も持たず襲撃して何人か返り討ちにされたあげく、兄を逃してしまうというこれも大失態。物語途中弟は配信会社に囚われて、新都市へ送られて、視聴者が望む行動をとらされる。訳が分からず目が点になった。
政府や企業が庶民やその縛りから外れたホームレスたちへの強固な管理や抑圧を乾いた映像表現で雰囲気をよく表しているとは感じた。特権や富を享受する上流階級は身形よく、いいモノを飲み食いしてぜいたくな生活をしているように見えるが、あまりそこいらはクローズアップされず、ホームレスたちとの対比はあまり写されない。むしろホームレスの中に物語上重要な人物がおり、その人物は割といいモノを飲み食いしていたので、体制に対する反抗に共感できなかった。
物語の説明が少ないのも共感できない点。何で男は逃亡するのか、弟はなぜ兄を助けて何をしたいのか、配信会社は男をどうしたいのか、更に権力はこの体制をどうしたいのか等々。まったく分からない。途中から理解を放棄してしまい、ただ展開を眺めるだけになってしまったのが非常に悔やまれる。
ある程度の国家なら、徴税や医療福祉等々国民を管理したがるのは当然とは思う。その方法・手段はテクノロジーの発展とともにより身近に、より簡単になっていくだろう。映画のようなディストピアの世界になるかは自分では分からないが、陰謀論者が考えるような破綻した世界にはならない気はする。楽天的かもしれんが。監獄都市 プリズンシティ(アメリカ・イギリス:2017年)
監督:S・A・ヘイルウッド
脚本:S・A・ヘイルウッド
出演:ロッテ・ファービーク
:アリソン・ドゥーディ
:ライナス・ローチ
:L・スコット・コードウェル
:クラーク・ピータース
 
身体に埋め込んだ情報チップで市民を統制管理している近未来において、10年間その収監生活を動画配信されていた男の物語。彼は市民の人気を得ているが、自分の生活を配信されているとは知らず、更に新都市をその身柄を新都市へと移送されようとしていた。配信会社の企みにより、市民の中であることをさせ、その様子を配信してさらに富を得ようと目論んでいた。しかし天才ハッカーである男の弟が移送中に襲撃。仲間の犠牲を出しながら男を救出しようとしたが、男は一人脱走してしまう。彼の逃亡と、配信会社の上層部による陰謀、自由と反抗を求める弟たちが交錯していく。
インディペンデント系作品のためか、雰囲気が独特。浮遊する巨大なドローンが市民を監視し、違反者を容赦なく処罰していく。反面遠くない未来を舞台にしているためか、街はやや古めかしく、閑散とした荒れた様子を呈しており、これまたクラシックなエンジン車も走っている。一般庶民はあまり出てこないが、街からあぶれたホームレスがコミュニティを形成しており、その反面特権を有する富裕層は非常に良い暮らしをしているようではある。しかし、その対比はいまいちインパクトに残らず、ただ悪げな陰謀を巡らして、自分の富を更に大きくしようとするのみで、存在感が弱い。陰謀を巡らす配信会社のトップは女性で、この人はそこそこのさばってくれるが、キャラクター性があるだけで何がしたいのかよく分からない。そもそも囚人の生活を配信してバズってくれるんだろうか。そして新都市で試験させられることを観て喜ぶ人間なんかもいるんだろうか。いくらリアルでも炎上・非難させられるだけと思う。
それぞれの登場人物なんかも混ざって分かりにくい。脱走した主人公の男はあまり行動せず、逃亡していても緊迫感はない。自分の境遇を知るのも遅ければ、容姿を少し変えただけで追跡から逃れられるというのもご都合的。結局身体にいくつか追跡チップが入っているので、ドローンに監視されていた。追ってくる敵を振り切り、時には逆襲して逃亡する姿を見たかったのだが、途中ホームレスのコミュニティに受け入れられて、その中の女性といい仲になり、その最中を配信されるという大失態を犯していた。
もう一つの勢力、天才ハッカーの弟が率いる反抗組織も存在がイマイチ越してイマサン程度。パルクールを駆使してビルからビルへと渡って兄を乗せた護送車を襲撃するが、何の武器も持たず襲撃して何人か返り討ちにされたあげく、兄を逃してしまうというこれも大失態。物語途中弟は配信会社に囚われて、新都市へ送られて、視聴者が望む行動をとらされる。訳が分からず目が点になった。
政府や企業が庶民やその縛りから外れたホームレスたちへの強固な管理や抑圧を乾いた映像表現で雰囲気をよく表しているとは感じた。特権や富を享受する上流階級は身形よく、いいモノを飲み食いしてぜいたくな生活をしているように見えるが、あまりそこいらはクローズアップされず、ホームレスたちとの対比はあまり写されない。むしろホームレスの中に物語上重要な人物がおり、その人物は割といいモノを飲み食いしていたので、体制に対する反抗に共感できなかった。
物語の説明が少ないのも共感できない点。何で男は逃亡するのか、弟はなぜ兄を助けて何をしたいのか、配信会社は男をどうしたいのか、更に権力はこの体制をどうしたいのか等々。まったく分からない。途中から理解を放棄してしまい、ただ展開を眺めるだけになってしまったのが非常に悔やまれる。
ある程度の国家なら、徴税や医療福祉等々国民を管理したがるのは当然とは思う。その方法・手段はテクノロジーの発展とともにより身近に、より簡単になっていくだろう。映画のようなディストピアの世界になるかは自分では分からないが、陰謀論者が考えるような破綻した世界にはならない気はする。楽天的かもしれんが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?