ウィッチマウンテン/地図から消された山

ウィッチマウンテン/地図から消された山(アメリカ:2007年)
監督:アンディ・フィックマン
原作:アレグザンダー・ケイ
出演:ドウェイン・ジョンソン
  :アナソフィア・ロブ
  :アレクサンター・ルドウィグ
  :カーラ・グギノ
  :キアラン・ハインズ
 
しがないタクシードライバーが乗せた兄妹は宇宙人だった。二人は軍によって隠されたあるものを探していた。その彼らを追う米政府と宇宙人。タクシードライバーと兄妹は変人女性博士と協力して追跡を逃れ、ある山へ向かう。70年代に公開された映画「星の国から来た仲間」をリメイクしたSFミステリー。主役のタクシードライバーと逃亡する兄妹のキャスティングはいいが、手堅くまとまりすぎて物足りない気がする。
過去には不運や不幸な出来事があったタクシードライバーは鬱屈しながらも毎日真面目に仕事にいそしんでいた。かつてギャングお抱えの運転手をしていたため、その運転技術を見込まれて再び犯罪に引き込まれそうになるが、ギャングの手下を撃退してしまうほど腕っぷしも強い。そんな彼がタクシーを出そうとすると後部座席には金髪碧眼の兄妹が座っていた。驚いて二人を下ろそうとするタクシードライバーだったが、破格の報酬を見せつけられ二人を指示された場所へと運ぶ。そんな彼らを黒づくめの男たちが乗ったSUVが強襲。それも撃退して二人を荒野の廃屋まで運ぶ。その廃屋の地下では見たこともない植物が推し茂り、彼らはそこで奇妙なモバイルを回収する。しかし、そこで見たこともない戦闘服に身を包んだ異形の男が三人を襲われる。逃れた兄妹は自分たちの正体を明かし、タクシードライバーは以前客として乗せた変人女性博士に助けを求める。兄妹が捜しているものとは。彼らが狙われる理由とは。すべては謎の山、ウィッチマウンテンにあった。
この元映画を大昔、木曜?、金曜?、日曜?かのTVロードショーで観た記憶がある。もうキャストも誰だったか、ストーリーもどんなだったのか覚えていないので、この作品はほぼ初見になる。某映画監督と言い、陰謀論者といい、なんでアメリカンどもは地球外生命体が好きなのか。兄妹が自らを地球外生命体と証明するために、超能力をタクシードライバーや女性博士に見せるのだが、それは地球外生命体の実証にはならん気がする。ちょっとした地球産の超能力者にしか見えないんだが、有無を言わせず納得させられるのに無理を感じた。出てくる小道具や空飛ぶ例の物体にも将来人間が作りそうな造形になっており、もっと地球との隔世感を見せてほしいと思うところ。追ってくる謎の異形の男にも不気味な強さ、破壊力を感じず、主演のドウェイン・ジョンソンなら投げ一発でのせるんじゃないかと思えるほどの存在感の弱さ。更にそんな奴に歯が立たない政府機関の黒づくめの男たち。今一つ盛り上がりと展開の妙に惹きこまれない。
主演のドウェイン・ジョンソンは嫌いじゃない俳優。プロレスから映画スターに転身したのは正解だと思う。この人は屈強な体格とこわもての顔の割には、眼が優しいから人情味を感じてしまう。最初は悪態をつきつつも兄妹二人を運ぶが、彼らが襲われたときは身を挺して二人を守り、どんなピンチもあきらめず、ぶっとい二の腕を振り廻して必死に守り戦い抜く姿には、悪を憎んで弱者に優しいアメリカの男を体現している。
二人の兄妹もエキセントリックな外見と行動が役柄によく合っており、タクシードライバーに協力を頼みながら信用していない兄と、近くの人の心が読めるためタクシードライバーを信頼する妹とのキャラクター分けがよい。ただ能力がチート過ぎるので、時々なんで?と思わされる。兄の物質を通り抜ける力とか妹の物体を動かす能力とか。でもお金の万能性を知っているのに、自分たちの能力をうまくいかせていないような気がした。
元映画に出演していたキャストがカメオ出演しているようだが、前映画を忘れてしまっているので誰が誰やの状態。ただダイナーのウェイトレスで出ていた女優が元映画では妹を演じていたらしいので、彼女が三人を逃がすシーンは心に来るものがあった。アメリカの善良なおばさま感があり、世の中捨てたもんじゃないなと思ってしまう。あと黒づくめの男たちのリーダーのキアラン・ハインズは出てくるだけでドラマ性が高まるので好きなおじさん俳優でもある。
これもキャストに助けられた作品。肝心のウィッチマウンテンは最後にしか出てこないし、これが謎っていうほどもないザル状態で物足りない。途中襲ってくる異形の人物も話を盛り上げず。むしろ間接的に三人を助けてくれる宇宙人ヲタクどもの方が設定を支えているので、やはり物足りない。そもそもオレが地球外生命体モノに懐疑的に見てしまうのが大きな原因だが、最近巷で地球外生命体モノ作品が少ないのも、みんな飽きてしまったのかなと考えてしまった。

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