アンチャーテッド

アンチャーテッド(アメリカ:2022年)
監督:ルーベン・フライシャー
原作:ノーティードッグ「アンチャーテッドシリーズ」
出演:トム・ホランド
  :マーク・ウォルバーグ
  :ソフィア・アリ
  :タティ・ガブリエル
  :アントニオ・バンデラス
 
ゲームをやらんくなったのはいつ頃だったか。有名なウイルスサバイバルゲームとか悪魔合体RPGとか対戦格闘とか、古くはSTGとかなりやってたんだがなぁ。世界的ヒットのアクションアドベンチャーゲームを元にしたアクションアドベンチャー映画。登場人物のキャラクター性が弱くちょっと盛り上がりに欠けるなぁと思ってたら、ラストバトルがなかなか斬新で目を引いた。
孤児院で暮らす二人の兄弟。博物館に不法侵入した罪で兄は警察に連行されそうになるが逃亡。弟と約束を交わし行方不明になる。そして月日がたち、成長した弟は手癖の悪いバーテンダーとしてバーに勤めていた。そこに古物商を名乗る男が現れ、行方不明の兄が探していた黄金を、ともに探すように依頼。黄金を追えば兄に会えるとうそぶく。まずはそのカギとなる遺物をオークションから盗むことに挑むが、そこには500年黄金を追っている一族の跡取りと黒人女傭兵もやってくる。二人は黄金にたどり着けるのか。バーテンダーは兄に再会できるのか。世界を股にかけた大冒険が始まる。
タイトルの和訳は「地図に記されていない場所」ということのようだが、宝探しがメインの冒険劇。目的がお宝なので某教授シリーズより映画の雰囲気は生臭い。出てくる連中はどいつもこいつも目の色変えて裏切り出し抜き、最後には戦い殺し合い、お宝を求め争う。それを迫力ある映像で追っていくのだが、派手さが先行して強奪のスリルや謎解きの爽快感が弱い。オークション会場から遺物を掠め盗ろうと画策しても、結局はドタバタと格闘劇で争い、ヒリつくギリギリ感を感じられない。何のために高級スーツを用意したのか。
舞台がスペインに飛ぶと、もう一つの遺物を確保している女トレジャーハンターと、地下の探索が始まる。ギミックやトラップが次々と二人を襲うが、ヒントは分かりやすく、謎はすぐ解け、トラップも使い古された感がある。水責め程度ではもう驚かんのだなぁ。それらは遺物で解除できるので、その場にある手段で謎と罠を撃破していく爽快感が弱い。敵からの襲撃はあるが、こんな街中で格闘して周囲を撒きこんだらただでは済まんぞ。街の地下にこれ程トラップやギミックが仕込まれた遺跡があるのに誰も気づかんのかなぁ…。それ言うたら野暮かもしれんが。
主役のトム・ホランドは個性が前面に出ないので主役の影が薄い。手癖が悪くて一瞬でブレスレットをくすねたり、激しく走って女トレジャーハンターに追撃したりと、アクション面でがんばってくれているのだが、手癖の悪さを活かした見せ場も少なく、絵葉書の秘密に気づくのに時間がかかったりと、作為的に遠回りしているように観えた。相棒の古物商役、マーク・ウォルバーグの小狡さや一人よがりのクズ感はなかなか堂に入っていたが。黒人女傭兵はキャラ立ちしてなかなか良かったが、終盤にやったことがなんで?と理解に苦しむ。しぶとくのさばるイヤな描き方はしてくれたらもっと面白いのに。女トレジャーハンターはこの手の映画には欠かせない、一クセも二クセもある喰えないタイプ。ただそれら行為が魅力的に映るほどのキャラクター性が演者から感じなかったのが残念。いっそのこと場面に応じて色々衣装を変えてくれたら好きになれたのに。
最後の戦いはなかなかの見もの。この演出は今までの映画では見たことがない。林立する巨岩の島の間を縫って飛ぶ大航海時代の帆船は迫力がある。このシーンのためにこの作品はあるのかもと思った。ここでバーテンダーが知識と機転を活かした反撃を見せ、爽快感を感じることができる。
エピローグでは次作への含みを持たせている。ヒントを与えた重要人物の陰があり、それまでの思い込んでいたことが裏切られることになる。そしてマフィアとの取引。次の作品の布石のように見える。バーテンダーと古物商の二人が再び世界を股にかけて財宝を探し求める旅を期待したい。

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