いつから迷子なの?

気心知れる友人から問われた。

素直に答えた。

「最初から迷子だよ」

彼女は答えた。

あー!納得。

そのアンサーは、

あなたが最初から迷子なのは納得。

ってことじゃなくて、

成程。そう言うことか。

みんな、そう言うことなのか。みたいなニュアンスだった。

あんたすごいねえって感心して話をうんうん聞いてくれた。大好きだ。
苦労してる。今もしてる。昔もしてる。でも私たちはもう大人になっちゃったから、もう過去のストーリーを言い訳にはできないの。前に進むしかないのって言った。
言い聞かせてるみたいに聞こえた。

いつも明るい彼女も本当は泣きたい夜ばっかりなんよ。きっと。

つられて鹿児島弁になる。
とっても可愛い話し方をする。そして愛に溢れた話し方をする。
いくら話してても飽きんのよ。

辛いときいつも聞いてくれる。わたしが変っちゃっても、変わんなくても、受け入れてくれるんよね。心地いいひとよ。

わたしの人生ってなんだろうって考え始めたのは14歳の時だった。
早すぎるのかな?

自殺を考えたのは12歳だった。

死なないと許してもらえないと思ってた。でもそんなこと誰にも言えなかった。今だって言えてない。でもそんなん過去だから言うこともないけど。

母も父も根本に突っ込むことはなかった。たぶん、彼らなりにとても悩んだと思う。

母はいろんなひとに怒られてた。
母として、教育を間違えたんじゃないのって。自由すぎるわたしと、外に出られないわたしをただ見守った。

学校に行けって言わなかった。
ただただ心配してた。

行く時は一緒に行ってくれた。送ってくれた。

誰にも心を開かなかった。家族のことが嫌いだった。コンプレックスがあったんね。

田舎で閉鎖された環境が嫌だった。
もっと自由で束縛されない東京に憧れた。

そんな自分が大人になって、地元が大好きになった。

地元に友人が多いわけじゃない。

自分なりに小さな経験が積み重なって、地元で暮らすのびのびした空気が好きになった。

実家から最寄り駅まで、朝が早いと空気が澄んで富士山が見える。天気がいいととても綺麗に見える。

母は両手でiPhoneを操作して、やけにアップにして富士山を撮る。
誰に見せるわけでもなく毎日。

母の趣味は空や、雲の写真を撮ること。

のびのびしたこの街が私も好きだ。

大人になったらどこかに行くと必然的に思っていた。わたしが死んでもすぐに伝わらないような生き方をすると思っていた。

どこか遠くに行きたかった。別にどこだってよかった。キラキラした暮らしよりも、淡々とカップ麺をすするような1Kのさもしい暮らしをする大人になると思ってた。
それしかできないと思ってた。

だけど、どう?

クリスマスには横浜の赤レンガ倉庫のイルミネーションを毎年見に行ったり、記念日にTOMMY HILFIGERのTシャツを交換し合ったり、19歳にシルバー、20歳でゴールド、21歳でプラチナを貰ったり、彼氏の地元と一緒にUNOしたり、
そんな人生経験しちゃったのよ。

なんにも持ってない人間が、普通以上の生活をしてきた人間と出会っちゃったのよ。

自分で成し遂げたことじゃないのに、自分の功績になっちゃってるのよ。
その人がいなければなり得なかったのに、よ。

傲慢でわがままね?

そんなでさえ必要でなくなって、去ることがあるんだから。失うことができた。手放すことができた。

いまの方が幸せだとは思う。

50:50なの。平等だと思う。ふたり。似てるし。出来ることも多くない。チャレンジャーなのはそう。理想も掲げることができるし、それなりに怖気づいて立ち止まってうじうじ悩んだりする。

仕事から帰ったらオフモードに切り替わって、なんにも出来なくなる。
外に出たら自動センサーでスイッチオンされてニコニコする。

そっくりだと思う。
愛したいと思う。

気持ちを切り替えるために髪型を変えた。思いっきりパーマをかけた。
凪のお暇の凪ちゃんみたいになった。
とてもお気に入りになったよ。素敵だった。

それでも気分は晴れなかった。
重い気持ちで仕事に行った。気分が悪いよりも具合が悪くなった。

とうとう立っていられなくなった。

たいした責任あるポジションではないけれど、責任を持って働かなくてはならないんですね。わたしは。

会社の看板背負って働くわけですからね。

しばらく、休ませてください。

あ、あと有休3日しかないんだけど。1ヶ月無休って、だいぶしんどいんだけど。てかもう復帰なんてできないんだけど。

あ、そのまま退職させていただいてもいいですか?ほんと、申し訳ないんですけど。

そんな未来が見えてしまって、

事情ありきで辞めるかもしれない意思を伝えてた。やる気ないやつって思われちゃってるかもしれない。

でももうしんどいんよ。
今度の昇級試験も受ける資格ない。いいよいいよ、もう辞めちゃおうよ。

たぶん頑張れるステージにいまたててないよ。自分の生活ですら出来てないじゃん。良くないよ、やめよやめよ。

家帰ってさ、彼氏に言うのよ。

もう死にたいって。
毎日通勤してる原付で一時停止の時、そのままブレーキかけるのやんなっちゃうって。
このまま握って突っ込んじゃいそうになるんだって。

仕事辞めれば。って。

でも養えないからねって笑う。わかってるよって笑う。

ただ生きるだけでこんなに難しいと思わんかった、23歳よ。

世知辛い世の中ね。



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