思い出した日(ここ3日程のスケッチ)
春の空気のふくよかさ
化粧の楽しさ
風が吹いてわくわくすること
人生の余白のようなもの
一昨日と今日で新しい靴と猫のかたちの一輪挿しを買った
今の部屋からは富士山が見えることを知ったのは、越してきて3ヶ月経った頃だった
前職で、明け方の富士山に毎日手を合わせていたこと
居場所が無いと言ったわたしに「いつまでもいて良いよ」と言ってくれた地元のカフェの店主
子供の頃よく連れて行ってもらったオルゴール博物館で、大きなディスクオルゴールを聴いたこと
そこのチャペルの明るさ
近くには、エミール・ガレ美術館もあって、そこのエントランスの高い天井と大きな採光窓も明るく白く美しかったこと
「なんで?」と聞けない子供だったこと
ひとりが好きなこと
ひとりで好きなところに行けること
ひとりで満足できること
家族がほしくて仕方なかったけど、最近その願いに振り回され過ぎていたこと
世の中が美しくて居た堪れなかった頃があったこと
実家の屋上で見た空が明る過ぎて目が眩んだとき、その光の粒が深海のプランクトンの死骸のイメージと重なったこと
夜中まで仕事をしてくたくたで帰った冬の日に、三叉路を鹿が横切る幻視をしたこと
それらにいつも励まされていたこと
何度も何度もその光景を思い出すこと
今では許されていることがたくさんあること
許されないと信じ込んでいた時代がたしかにあったこと
風に舞うビニール袋が好きなこと
まかないでよく作っていたパスタの美味しさ
メジロとヒバリを見かけた
黒猫には煙たがられた
ここの空にはひっきりなしに羽田と成田の飛行機が行き交っている
嬬恋の夜空が本当に美しかったこと
でも、ここの夕焼け空も好きなこと(特に、坂の上から見える縦長の空のグラデーション)
ものを書くことが好きだったこと
あるとき言葉を疑うようになって言葉を使うことが怖くなったこと
絵を描きたいこと、その気持ちの感触
でもまだ描けないこと
まだ御守りが足りない
ちっぽけな御守りなんて必要ないくらいの自分だけの神様がほしい