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⑧やたら目に付くランドリー

 江戸時代のヒット商品のひとつに化粧品の『仙女香』がある。いわゆる白粉。この商品の宣伝活動は凄く、いろんな本に広告を出していた。そのために「仙女香 やたら顔出す本の端」と川柳で歌われたほど。ニューヨークを歩いていて感じるのは、やたら日本でいう『コインランドリー』が多いことだ。「ニューヨーク やたら目に付くランドリー」。アメリカの人はよほど洗濯が好きなのか、あるいは逆に洗濯をするのが面倒だと思っている人が多いのだろうか?いったいどっちなんだろう。で、なぜなぜ???
 アメリカの最大の家電ショップ『BEST  BUY』に行くと、パソコンと白物家電が大きなスペースを占めている。特に私の目を引いたのは冷蔵庫。どの冷蔵庫も大きい。そして日本のメーカー製はあまり目にしない。変わって韓国の『LG』製が頑張っているように思える。この家電ショップを見ていて気付くのは洗濯機があまり目に付かないことだ。ないことはないが、あまりに台数が少ない。いや、他の製品に比べて極端に少ないと言ってもいい。なぜなぜ???
 その疑問はあっさり解けた。ニューヨークには築50年・60年の建物はざらにある。古いのだ。だから、そもそも建設時に洗濯機を置くことを想定していない。つまり、想定して排水管が備えらえていないのだ。アメリカのマンハッタンには古い建物が多く、それはアパートメント(日本で言うマンション)にしてもホテルにしても、風呂やシャワーの排水の流れは決まって悪い。たぶん多くの人が旅行などで経験あるに違いない。「なんて排水が悪いホテルなんだ・・・!」と感じた人は多いだろう。どんなに名門の格式あるホテルだってお風呂の流れは共通して悪い。いや、格式があるからこそ排水が悪いと言っていい。
 排水設備がそもそも古かったりするニューヨーク。だから洗濯機が置けるアパートメントなんて、そんじょそこらにあるわけでない。洗濯機が置けないアパートメントの方がはるかに多いのだ。最新の高層マンションなら違うかもしれないが、多くの人が住む築数十年のアパートメントには洗濯機置き場がない。置こうにも排水設備がない。かくして人はコインランドリーに行くことになるのである。

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