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⑨肥満大国アメリカの構造

 アメリカには肥満の人が多い。そりゃそうだ。バーガーを頬張り、1リットルもありそうなコーラをがぶ飲みし、どんぶり茶碗ほどに盛られたアイスクリームをペロリと平らげる。それで太らない方が不思議だ。しかしアメリカでは自分が太っていると自覚している人は驚くほど少ないらしい。「ちょっとポッチャリしてるかな?」くらいに思う人が多いそうだ。想像だが160センチ・80キロでも自分を肥満と捉えている人は少ないだろう。日本なら立派な肥満だ。160センチ・100キロを超えたくらいから自分の肥満を意識し出すように思う(これも想像)。
 以前、高齢社会を考えたことがある。私の結論は「自分はまだまだ若いと多くの人が思っている社会のこと」と結論づけた。高齢社会だから「自分を高齢」と意識している人が多い社会ということではない。60歳の人は70歳の人が多くいるのをみて「自分はまだまだ若い」と思い、70歳の人は80歳の人が多くいるのをみて「自分はまだまだ若い」と思い、80歳の人は90歳の人が多くいるのをみて「自分はまだまだ若い」と思う。高齢社会とは、みんなが自分は若いと思う社会のことことだ。それが高齢社会の精神構造だと思う。アメリカの肥満意識もこれに似ている。自分はまだまだ太っていないとみんなが思う社会なのだ。
 肥満の人が多くいる社会だとどうしてスポーツジムに通わないのだろうか?思ってしまう。しかし、スポーツジムに通うアメリア人はそんなに多くない。もちろん通う人も多いが、肥満の人というよりもマッチョ体形の人が多い気がする。マッチョな人がよりマッチョになるために、あるいはマッチョ体型を維持するために。肥満の人がダイエットのためにスポーツジムに通うのは案外少ないかもしれない。
 肥満の人には特にヒスパニッシュ系に多いのではないか?(あるいはそうとも言えないかもしれないが)。考えを進めていくと、アメリカの階層社会に行きつく。ヒスパニック系に多い貧困層はスポーツジムにも通えない。ある程度のリッチ層はスポーツジムに通う。更に上級階層はどうしているかは私にはわからない。スポーツジムに通う以外の手立てを持っているかもしれないからだ。肥満かどうかはなんとなく階層と関係しているように思えてならない。
 

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