見出し画像

③マンハッタン地域開発

 ニューヨークは刻々と変化していく都市だ。以前は倉庫街で、治安も悪かったエリアもお洒落な街として再生されるケースも多い。インダストリー・シティはその代表例。マンハッタン南部に位置する一角で、32ストリートから37ストリートまでを言う。ここのジャパン・ヴィレッジには日本の商品がワンサとある。まるで成城石井に来ているよう。ポン酢もたくさんあるし、マヨネーズだってたくさんある。しかも大人気。日本酒だって置いてある。しかもアメリア産。だから日本酒ではなく「アメリア酒」と言うべきか。米はアメリカ産で、酵母もアメリカ産。もはや純粋なアメリア清酒である。
 地域開発のKFSは、日本では大学であったり、複合ショッピング施設だったり、アートだったりする。さびれた街も大学を誘致した途端に活性化する。学生は増えるし、その学生を狙ったお洒落な喫茶店も増えるし、小洒落たマンションも増える。若者が闊歩すれば街に賑わいが出る。例えば北千住地域はそれまで人気もいまいちの街だった。言っちゃあ悪いが、私の学生時代には東京の端で人気もなかったエリアだった。それが東京電機大学、帝京科学大学、東京芸術大学、東京未来大学、文教大学と、次々に大学誘致に成功し、今では人気スポットのひとつである。
 大型商業施設も街を一変させる。湘南の辻堂がいい例だ。藤沢と茅ヶ崎に挟まれて辻堂はイマイチなエリアだったが、テラスモール湘南の誕生のおかげで地価は高騰し、人気エリアになった。横浜の色街、黄金町も同様だ。猥雑とした街をアートの街にした途端、人通りが大きく変わり、街のイメージも大変わりした。こんなエリア開発のKFSは日本もニューヨークも変わらない。
 ニューヨークのクイーンズボロ橋を渡り切ったエリアは昔は工場と倉庫街。しかし今、高級アパートメント(日本でいうマンション)がひしめき合う。しかも次々とまだまだ建とうとしている。日本で言ったら武蔵小杉か。武蔵小杉も以前は、不二サッシや東京機械、NECなどの工場が存在した。しかも駅のすぐ近くに。それがいっきに郊外へ移転。そこに大型商業施設と大型住居が誕生した。そして街は激変。住みたい街人気ランキングのトップグループに躍り出た。このニューヨークのクイーンズボロエリアも同じようになりつつある。セントラルパークまでクルマで15分。人気エリアになる条件は充分だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?