いとバイ通信 2-15

いとバイ通信 2-15

ヤスパース哲学との出会い

「歴史の起源と目標」理想社との出会い

私は商業高校を出て薬品会社の営業マンをしていました。ある時会社の研修会の時薬問屋の社長の話がありました。その社長は東大の哲学科を卒業しており医者の中に東大の哲学科卒がいることを話されました。その医者はまさにその時私が胃潰瘍で通院していた開業医の先生だったのです。

その重田医師は哲学者カールヤスパースの翻訳をされているのだとの話を聞きました。そしてその時紹介された本が「歴史の起源と目標」でした。

診察の時その話を重田先生に聞きました。先生は翻訳が終わってその本の末尾に「解説にかえて」という小論文を書くために1年半くらい毎晩徹夜して世界の著名な歴史学者の本を百数十冊読んだことを話してくださいました。

私はもともと「哲学」には大きな興味をもっていましたので、先生が翻訳されたこの本を読んでみました。読んだ私の感想は「学校の歴史の授業の時この本の内容を教わっていたら歴史の興味を持てたに違いない」ということでした。その時は最高峰の哲学者であるヤスパースが人類の歴史を深く語った本であるその価値はわからなかったのです。

重田先生はこの本で人類の歴史のターニングポイントとして取り上げられている「枢軸時代」という考え方をヤスパースが考え出した新しい見解であるのかに興味を持たれ解説のかえての小論文を書かれたのでした。私は高校までにほぼ勉強はしてきておらず本もほとんど読んでいませんでしたのでそんな深い問題点は全く考えも及ばなかったのです。

私はこのきっかけからヤスパースに関心を持つようになりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?