新型コロナを社会学の教材に(中国)

中国

新型コロナは事実上共産党一党独裁である中国が発生地となった。発生当時は地方官僚が上の指示によってしか動かない体質が初期対応を遅らせてしまった。しかし最高指導者の号令が出てからの中国は全ての命令がこの感染症を止めるための一点に集中していたように見える。

他の国々と最も大きな違いは正体のわからないこのウイルスに最初に立ち向かったということだろう。正体がわからないまま対応しなければならない一番バッターは後で対処している国とは比較にならない困難があったに違いない。

対応は最も厳しい処置から始まった。東京(927万)よりも人口が多い武漢(1100万)を封鎖し医療崩壊に対しては全国から大量の医療団を送り込み、最短で新しい病院まで作り、このウイルスの対応方法の一つのモデルケースとなったように見える。

日本は東日本大震災の時全世界から支援してもらった。大阪で「武漢がんばれ」の旗がひらめいたのは中国の人々を勇気づけ、日本人として誇りに思える事柄だったし、マスクなどの支援物資も日本の各地から中国へ贈られたことは素晴らしいことだと思う。

中国によれば13億人以上いる中国も人々の1日の罹患者が1桁となった。ウイルスとの闘いの中で明らかになってきたことは将来におけるAI管理社会を実感したことだった。顔認証ですべての人々の移動が把握されていることが分かった。AIの利点を利用したからこそ第一波の戦いに勝利(?)した一面があることを考えると複雑な気分だ。

全部政府から管理されていることに息苦しさを感じ自由を束縛されているように感じてしまう。しかしこれは中国社会だけの問題ではなく、我々全体の将来の問題でもあるように思う。真実をネットで報道していた人の所在が不明となった。なぜだろうと思う。

世界中が一丸となって対処しなければならない事柄はそうそうないだろう。そんな新型ウイルスなのにまだまだ一丸となれないのは人類の未熟さのためなのか。中国は自国が克服しつつあるため、イタリアなどに対して支援を開始した。素晴らしいことだと思う。今は全人類が知恵を出し合ってこのウイルスと戦う時ではないだろうか。

本当に残念なことがある。トランプ大統領はこの新型コロナの感染症を中国のせいにしたがり世界が一丸となって取り組まなければならないこの問題を国の対立に矮小化しようと必死だ。自身の大統領選だけにしか関心がない人だとほとほとあきれる。

私が思うのは新型コロナという課題は世界中平等に同じ質の問題として与えられている。世界は協力し合って解決しなければならない難問題なのだ。今回の中国は一番手のバッターを務めたが非常に立派にやり遂げたと考える。



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